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「そ、それは言わないけれど、あの……」

「でしょ。あいつに頼りがいなんて感じないもの。
男は頼れるものじゃなくちゃ嫌なの。だから、年下はいや。
しかもよ、あいつ、出がらしとはいえ、社長の息子だよ。
そんな恋愛に、何か意味がある?」

「……意味?」

「そうよ、実らない恋をしているほど、暇じゃないんです」


瑠衣の堂々とした意見は、どこかわかるような気がしたが、それと同時に、

そんなに人の心は割り切れるものではないのではと言う思いも、どこかにあった。

結衣は、その日の飲み会で、自分が一方的に聞き続けたような気がして、

楽しいはずの時間が、どこか重苦しく感じてしまう。

瑠衣と別れたあと、結衣は仕事を終えたサラリーマンたちと

ため息を乗せた電車に乗り込み、その日はパックを丁寧にした後、

すぐベッドへ横になった。

更新日:2012-01-21 21:56:26

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