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9 好きな人の話

秋にスタートした『BOND』への仕事も一段落し、

結衣は『ボンジュール』へ向かうと、

『オフィスポケット』の契約更新をすることになった。

会長は学生に評判だと嬉しそうに語り、結衣もそれに感謝をする。


「『フワロン』のお菓子は、なかなか好評なのよ。
今じゃ、すっかり学生達にもなじんでいるみたい。売り上げも結構あるらしいし」

「はい」


太郎がいた半年間で、蒔いた種が、きちんと実をつけていくのを感じ、

結衣は心地よい充実感の中、『ポロン』に会うためペットショップへ向かった。

『ポロン』は結衣に気づくと、すぐにシッポを振り始める。


「『ポロン』よかったね、橋本さんだ」

「うわぁ……『ポロン』そんなに飛び跳ねないで」


『ポロン』の耳には、先日、誕生日だからと誠一郎が贈ったリボンがついていて、

これには色違いがあるのだと、店員が説明した。

結衣は何気なく、誠一郎も会いに来ているのかと問いかける。


「あぁ、それが体調を崩されたらしくて。おとといも予約がありましたけど、
急にキャンセルになりました。なんだか、1週間くらい入院されるそうです」

「入院?」

「たいしたことはないですからって、言われてましたよ。
『曲作り』に必死になりすぎたって、笑っていらっしゃいましたけど」

更新日:2012-01-17 21:17:19