• 5 / 25 ページ

第4回目

チャンチャラララランチャララ……

「……それで……」
「……わからねえ……」
「……うーん、だから、眼鏡好きにはSが多いんじゃないかってことだよ」
「そ……そんなのわかるのか?」
「芸能人で眼鏡かけてて売れてるやつってそういう味じゃねえよな」
「それはほら、逆に考えれば……」
「それならなんでもあてはまる……」
「ぼそぼそ言うとらんで! ほら、始まっとるんやで! キミら口閉じて! ええと、六時につながる異次元チャンネル、ラジオ『きらきら星放送局』、<マッドパーティのマッドティーパーティー>いー! パーソナリティーは三月うさぎと」
帽子屋「帽子屋」
眠り鼠「眠りねずみー」
三月兎「……で、お送りしまっす! ……もーっ、キミらがなんやかんや言うから! ボクが始められないやんっ」
帽子屋「仕切れねえのはてめぇのせいじゃないのか」
三月兎「しきれないっ? 始まったばかりなのにっ? ボクはやり切れない思いを抱えとるわ!」
帽子屋「切っちまえ!」
三月兎「アホ!」
眠り鼠「帽子屋。オレらが悪いとき、オレらが悪いから、オレらが悪いじゃ
ん?」
三月兎「その通りやで。やー、眠りねずみちゃん、ええ子やな」
帽子屋「なんだその活用」
眠り鼠「国語じゃなくて算数だよ。悪い(ワリィ)算って言うんだ」
******「あの、俺はいったいどうしたら」
三月兎「あ、今日のゲストは、小説のほうでは眠りねずみと切っても切れない関係のこのお方、チェシャー猫さんでーす」
チェシャー猫「ああ……で、どうしたら」
三月兎「アホッ! 普通にしゃべってればええんや……いや、ボクの言うことよく聴いて」
帽子屋「ずいぶんデカイ猫だな」
眠り鼠「確かに飼い猫だよ……公爵夫人のね」
チェシャー猫「変なこと言うな。だいたいなんだよ、チェシャー猫って」
眠り鼠「仕方ないな……チェシャー猫さん、ちょっとこちらへ。ボソボソ……」
三月兎・帽子屋『…………』
眠り鼠「……と、いうものなんだ」
チェシャー猫「俺は狂ってなんかいない」
帽子屋「いいや狂ってるさ」
三月兎「ボクらみんなが狂っているとき、キミひとりが正しいんやったら、キミは狂ってる」
帽子屋「俺ら全員が正しいとき、おまえひとりが狂っていたら、おまえはやっぱり狂ってる」
チェシャー猫「そんなわけあるか!」
帽子屋「いいや、おまえはおかしい。猫っていったら普通は女だろ。こう、胸のデカイ、露出度高めの……」
三月兎「それはチェシャー猫さんのせいやないね。けど、チェシャー猫らしからぬチェシャー猫や。だってちっとも笑わんもん。むしろ怒っとるで。ミスキャストや」
眠り鼠「いいや、間違いなくチェシャー猫だよ。嬉しいときにうなり、怒ったときにしっぽを振り……(『不思議の国のアリス』)。ほら、怒っていないときには怒っているように見え、怒っているときにはやっぱり怒っているように見える。こんなにひねくれたやつはこの世界にふさわしいね」
チェシャー猫「好きにしろよ」
帽子屋「そういう態度だと首を切られるぞ」
三月兎「おお、Aがガラスの向こうで確かにそういうジェスチャーをしとるわ……」
眠り鼠「ひいき算っていうのもあるね。好きじゃないやつは引っこ抜かれる。世の中ってのはそういう計算で成り立っているもんさ」
チェシャー猫「……世の中の計算式がずいぶんあるもんだな」
眠り鼠「みんな合ってるわけじゃないけどね」
帽子屋「やっぱりここは狂ってる。時計も狂ってる」
三月兎「ああー……先週はお休みやったんや。裁判が開かれた関係で。おっと、六時でないと言うならここはいつでも六時や。さて、今週もおハガキいってみましょーっ。ほい、チェシャー猫さん、読んで」
チェシャー猫「俺が? あ……ああ。むー……。『こんにちは。先日ふと気付いたんですが、家の猫と遊ぶとき、短い猫じゃらしを持って飛びつく猫をかわしているとき『ピーナッツ』のルーシーのようだと。長い猫じゃらしを振り下ろしているときにはニシオカ女王のようだと思います』え? えーと……PNオス猫にもてるオス猫(?)の飼い主」
三月兎「はいっ、よくできました! 休んでてええよ」
チェシャー猫「ふーっ……」
帽子屋「誰だ、ルーシーって」
三月兎「えーっ、知らんの? ルーシーってあれや、黒髪のピンクの服着た女の子やろ? とはいえボクもなんのことかはさっぱりや。女王のほうはわかるけどな」
眠り鼠「ああ、たぶん、それは……ルーシーがボールを押さえて例の犬の飼い主の丸頭の子に蹴ってみろって言って彼が蹴ろうとしたとたんに取り上げることじゃないのかな……」
三月兎「それで」
眠り鼠「すってんころりん」
帽子屋「ほーお……つまりこの飼い主は」
眠り鼠「結構なサディストということで」
三月兎「なるほどな。ところで、チェシャー猫さん、居るの?」

更新日:2011-11-16 22:24:43

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook