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『第3試合!道長勇太VS千草宗佑』



この会場には沈黙が続いている。

音も何もしない。

ただ観客は眺めているだけだ。




ユータは構えている。

俺はどうしたらいい。

どうしたら・・・

ユータは迷っている。

ユータの相手、千草は死合で2戦中2敗している。

この死合に勝たなくてはもう後がなく生きられない。

敗者には容赦ない鉄槌が下される。

ユータは目の前にある消えそうな命に迷っている。

「頼むよ!助けてくれよ!死にたくないんだよ!」

そう言いながら千草はユータに向けて闘気で作った弾を放つ。

ユータもそれをくらうわけにはいかないので…、

「七ノ刀 壱ノ刀 ターボソード!」

それはユータの右手に完全に憑依する。

形は、ちょうど手のひらの辺りにエンジン、ブースターが装備されている。

そして刀身はビーム状。

「こっちだって死にたくないんだよっ!!!」

ユータはその弾を切り落とす。

「えっ!?」

千草は驚く。

そして目には涙を浮かべる。

そしてユータは覚悟する。

「残念だが俺は負けるわけにはいかねぇ!!!!!!」

「アンタは今日、この死合で負けて3敗で惨敗して死ぬんだよ!!」

そしてブースターが稼動する。

「ターボスラッシュ!!!」

そして、ユータは高速で千草の前まで移動し千草の腹部を斬った。

ブシュッ

辺りに血が飛び散る。

「カハッ!!?」

そして千種は倒れた。

「ごめん、俺はそうしてまで生きていかなくちゃいけないんだよ…」

ユータはそんな自分を嫌悪しながらそう言った。


生物ならほとんどが持っているだろう。





生への執着。本能。



「僕は・・・負けたくない…。負けたくないんだよ!」


千草はまだその地面で這い蹲っている。


「死にたくはないんだよぉぉおぉぉ!!!!」


手をユータに向けてもう一度その手から闘気で生成した弾を放った。



「…。」



ドォォォォォ!!!



ユータはそれをまともにくらった。



千草はそれを見て血を吐きながら笑った。



「こ、これで僕の勝ちだぁ・・」


千草は腹の痛みを堪えて立ち上がった。

「ッ・・・やった・・・。!?」

千草は爆発の後の煙を見た。

中から…

「まだ、立ってるの?」

千草は震えだした。



ユータは静かな声でこういった。


「ゴメン。お前の分も俺が背負っていくから…」



「何をだよ!?勝手なことを何言ってんだよ!!?」

千草は動揺を隠せていなかった。



「ホント、俺って格好悪いよな。」



ユータは躊躇なく千草を斬った。





『第3死合道長選手の勝利です!』
MCは叫んだ。

『3回敗北した千草選手は後日処刑されますので楽しみにしていてください!』



ワァァァァァァァアアアァァァ!!!

会場は何故か沸きあがった。



「・・!?・・・・。」

ユータは言葉に詰まった。

何故なら人が死ぬのにこの盛り上がりようが分からないからだ。



狂ってる。



ここは狂ッテル。








そして3人は部屋に戻った。




更新日:2011-11-21 18:04:50

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