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会場には歓声が響く。
選手達の機嫌の関係なしに大きく大きくなっていく。
そこで死合のMCが観客達を煽る。
『さぁ、はじまりました。今日がデビューの斗田選手の入場です!』
ワァァァァと観客達は騒ぐ。
この地獄所で行なわれる死合というのはルールがある。
・死合最中にうざい観客がいたら殺しても構わない。
・死合最中に相手を殺しても構わない。
・死合最中にMCを殺しても構わない。
・10回勝利したら出所。
・3回敗北したら死刑。
・割り込み死合は禁止。ペナルティを与える。
というものだ。
なんとも必要のないルールだ。
どうしてこんなに死に無関心なのかというとこの地獄所にいる連中[咎人]はみんな元は死刑囚なのだ。
その死刑囚から気まぐれで選ばれた者が地獄所に入所させられてこのようなことを行なわれるのだ。
ということで始まる。
◇斗田智春
『第一死合 斗田智春vs本田雅一』
トモはコロシアムの中に入った。
「さぁ、はじめようぜ。」
「あぁ…。うん。」
トモの今回の相手、本田。
外見は20代後半の気弱そうで小柄、痩せ型のタイプだ。
トモは自分の右腕を振った。
そして静かな声で言った。
「闘気開放 発動 悪魔ノ剣(デビルサーベル)!」
トモの右腕から外観が毒々しい紫と赤、黒などが混ざった刀。
剣鍔には人の頭蓋骨がある。
「さぁ、来いよ?」
その声はどこか自信にあふれている。
「わ、ゎ、わかった…よ……!」
本田は怯えているのか?
よく分からないが本田という人間をトモは理解した気がした。
そして本田はビビってるままトモにかかってくる気がしない。
観客はその死合の動きの無さにブーイングをしている。
「うるせぇな!殺すぞ!!!」
トモは観客に言った。
トモには大多数の罵声が飛び返ってきた。
「という感じだ。来いよ本田さん。」
トモは本田を完全になめきっている。
「ぉ…前……!」
本田はそのトモの態度にキレたのか少し声を震わせた。
「あぁ、キレた?来いってほら。」
本田は手を前に出した。
「ああああああああああああああ!!!!」
そしてその瞬間手に光が帯びた。
「鎖ノ呪縛-チェーンジェイル-!!!」
本田の手から無数の鎖が現れた。
その鎖はトモに向かって一直線で飛んでいく。
「へぇ、鎖ね・・・、ちゃんとその状態を保てよ?お前は俺の強さを知るためのモルモットにしか過ぎないからな。」
トモは笑った。
「じゃあ、俺も始動するぜ?」
その時、トモは瞬間的に本田の視界から消えた。
「なっ!?」
本田は視界から敵が一瞬で消え驚愕していた。
辺りを見渡したがトモの姿はどこにも無い。
「ア、アイツはどこに…?」
本田は背後に寒気を感じた。
その寒気に恐怖し後ろを向けなかった。
「後ろだぜ?お前は闘気の基本講習ちゃんと受けたのか?」
トモは本田の首筋に刀を向ける。
「さぁ、どうする?降参するか?それともこのまま殺されるか?」
トモは本田にその選択を言い渡した。
「・・・・・。」
本田は確かに言った。
「おれは…、降参する。」
『この勝負、斗田選手の勝利!!!』
観客はざわざわとざわつきはじめた。
◇斗田智春 …勝利…
更新日:2011-11-12 10:25:57