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お子ちゃまに完敗!? (おまけ)

これは、病院とは全く無関係の内容なので、おまけのお話ということで……。



それは数年前、人体標本の展示会(人体の不思議展?)に行った時のこと――。

私は、自分の手のひらに脳を載せ(特殊加工で触れる標本となっている)、その男女の重量差を実際に体感しているところだった。
そこへ、背後から何ともなしに聞こえて来た子供の言葉に、思わず私は振り向いてしまう。


『 ママ、 “しんぞう” って “ハートのかたち” してないんだね。 』


おそらく、幼稚園生くらいだろうか……。
母親に連れられたその女の子は、心臓の標本を前にしてそう言ったのだ。

「………………!!」

私は目を見張り、その子に視線を釘付けにされてしまった。
本当にそうだ。 その通りだね……。

確かにアニメの世界では、ドキドキする時などに、体からハートのマークが飛び出して表現される。
イラストで、簡単に体のしくみを説明する時もそうだ。心臓の部分には、よくハートが描かれている。

女の子の柔らかな心とその素直な言葉は、私を驚かせるのと同時に、ひどく感心させられるものだった。
心の底から、本当にそうだよね…と思わずにはいられなかったのだ。

残念なことにその子の母親は 「これはマンガじゃないの。 本当の人間の心臓なのよ!」 と、やや強い口調で注意するように言っていたけれど…。

そんな言い方をしなくても良いのに……。こんなに素敵な発見をしてくれたのに……。
私はその光景を眺めながら、少しだけ悲しい気持ちになってしまった。

大人はいつから、この心の柔らかさを失ってしまうのだろう?

子供のしなやかな心に触れる度に、大人では気付かないような言葉に驚かされる度に、そんなことを考えさせられ、子供から教えられるような気がする。

子供って…やっぱりスゴイわ、かなわないや……。

女の子の可愛い言葉を思い出しながら、心からそう思った。

そして、思いがけず素敵な拾い物をしてしまったような、幸せな気持ちを抱えながら、その日私は帰路についた。


更新日:2015-11-15 21:37:02

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