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君の名は・・・!?
これは、本当にお恥ずかしい失敗談――。
その頃当院では、患者さんが診察券を忘れて来院した場合、医事課スタッフの手書きによる物を代用して、カルテに添付していた。
当然手書きであるから、どうしてもその書き手によって、読みやすさ読みにくさは生じてきてしまう。
私の手元にある一枚の紙もまた、例外ではなかった。
申し訳ないけれど、とても読みやすいとは言いにくい、癖の強い“今時の女の子風”の文字――。
それを手にして、私は患者さんをお呼びした。
「キャノ・チャユさん、 キャノ・チャユさ~ん!」
待合室からは誰一人として反応がない。 おかしいな?と思い、呼び方を少し変えてみた。
「キヤノ・チヤユさん、 キヤノさ~ん!?」
外国の方だと思いお呼びしていたのに、立ち上がったその患者さんは、どう見ても普通の日本のご婦人――。
アレッ?? 不審に思い受付の方に目をやると、周りのスタッフがみんな目をテンにして、私のことを見ている。
……えっ、なに? ナニ? 私、何かした?
不安になって、受付ノートを確認してみると――
何とその患者さんの名は、 “キャノ・チャユさん” ではなく、 “木谷野 ちや子(キヤノ チヤコ)さん” だった。
「……っ、申し訳ありません。 失礼しました!! 木谷野さんですね。 診察室にどうぞ。」
診察後も失礼をお詫びして、何とか無事にお帰り頂いたが――。
だって……だって、紙に “ヤ” が小さく書いてあったんだもの!
“コ” の下が突き抜けて “ユ” に見えたんだもの!!
今思い出しても、本当に恥ずかしい出来事だった。
※ 患者さんのお名前は仮名にしてあります。しかし、実際の間違いも、これにとても近い感じでした。
その頃当院では、患者さんが診察券を忘れて来院した場合、医事課スタッフの手書きによる物を代用して、カルテに添付していた。
当然手書きであるから、どうしてもその書き手によって、読みやすさ読みにくさは生じてきてしまう。
私の手元にある一枚の紙もまた、例外ではなかった。
申し訳ないけれど、とても読みやすいとは言いにくい、癖の強い“今時の女の子風”の文字――。
それを手にして、私は患者さんをお呼びした。
「キャノ・チャユさん、 キャノ・チャユさ~ん!」
待合室からは誰一人として反応がない。 おかしいな?と思い、呼び方を少し変えてみた。
「キヤノ・チヤユさん、 キヤノさ~ん!?」
外国の方だと思いお呼びしていたのに、立ち上がったその患者さんは、どう見ても普通の日本のご婦人――。
アレッ?? 不審に思い受付の方に目をやると、周りのスタッフがみんな目をテンにして、私のことを見ている。
……えっ、なに? ナニ? 私、何かした?
不安になって、受付ノートを確認してみると――
何とその患者さんの名は、 “キャノ・チャユさん” ではなく、 “木谷野 ちや子(キヤノ チヤコ)さん” だった。
「……っ、申し訳ありません。 失礼しました!! 木谷野さんですね。 診察室にどうぞ。」
診察後も失礼をお詫びして、何とか無事にお帰り頂いたが――。
だって……だって、紙に “ヤ” が小さく書いてあったんだもの!
“コ” の下が突き抜けて “ユ” に見えたんだもの!!
今思い出しても、本当に恥ずかしい出来事だった。
※ 患者さんのお名前は仮名にしてあります。しかし、実際の間違いも、これにとても近い感じでした。
更新日:2015-11-15 21:06:11