- 11 / 18 ページ
お子ちゃまに完敗!? ③
それは、ヘルプで皮膚科の受付に入った時のこと――。
診察室では、ちょうど水イボ取りの真っ最中で、大きな声が外にまで響いていた。
「もう、しない~。 もう、おしまい~。」
処置の痛みと、抑えつけられる恐怖とで、小さな子が大泣きしている。
「もうちょっとの我慢だからね。 静かにしていてくれれば、すぐに終わるからね。」
「〇〇ちゃんはお利口さんだね~。 もうすぐだからね~。」
ドクターも介助者も、なんとか気をそらせようと、いろいろと声をかける。
「ヤ~ダ~! もう、しない~!」
「あっ、そうだ。 ママとお歌をうたおうよ! 鯉のぼりの歌。
ねっ、お歌うたっている内にきっと終わるから。」
「鯉のぼりの歌うたえるの? 先生も聴きたいな~。」
「ヤ~ダ~!! もう、おしまい~!!」
「そんなこと言わないで。 ほら、せ~の ♪ 屋根よ~り…… 」
母親の音頭に、その子は嫌がりながらも必死の様子で、
♪ ……だ~か~いっ、ごいの~ぼ~り~、おおき~いっ…… ♪
歌っているのか、怒鳴っているのか、とにかくきちんと歌いあげた。
……けれど、処置はまだ終わらない。
「ヤダよ~っ!!」
「もう一回お歌うたおうか。 今度はおひなさま。 先生も聴きたいって。」
「ヤ~ダ~!!」
「ほら、せ~の……」
♪ …あがりをつけましょっ、ボンッボリに~っっ!! ♪
今度もやっぱり、きちんと歌ってくれた。
そんな様子を、診察室の外ではたくさんの大人たちが見守っている。
受付の私を含め、待合の患者さんたち皆が皆、ちょっと切ないような、そして本当に愛おしいというような表情を浮かべて……。
「じょうずだね~、おひなさま。
……よ~し、終わったよ!! はい、おしま~い!!」
ドクターのその言葉で、ようやく処置が終わった。
「偉かったね。 よく頑張ったよ! お歌も、とっても上手だったよ!!」
診察室を出て行く時、私は声をかけた。
大泣きしてまだ息が整わない女の子は、何も応えてはくれなかったけれど……。
毎日来院する小さな小さな患者さまたちは、みんなそれぞれ頑張ってくれている。
診察室では、ちょうど水イボ取りの真っ最中で、大きな声が外にまで響いていた。
「もう、しない~。 もう、おしまい~。」
処置の痛みと、抑えつけられる恐怖とで、小さな子が大泣きしている。
「もうちょっとの我慢だからね。 静かにしていてくれれば、すぐに終わるからね。」
「〇〇ちゃんはお利口さんだね~。 もうすぐだからね~。」
ドクターも介助者も、なんとか気をそらせようと、いろいろと声をかける。
「ヤ~ダ~! もう、しない~!」
「あっ、そうだ。 ママとお歌をうたおうよ! 鯉のぼりの歌。
ねっ、お歌うたっている内にきっと終わるから。」
「鯉のぼりの歌うたえるの? 先生も聴きたいな~。」
「ヤ~ダ~!! もう、おしまい~!!」
「そんなこと言わないで。 ほら、せ~の ♪ 屋根よ~り…… 」
母親の音頭に、その子は嫌がりながらも必死の様子で、
♪ ……だ~か~いっ、ごいの~ぼ~り~、おおき~いっ…… ♪
歌っているのか、怒鳴っているのか、とにかくきちんと歌いあげた。
……けれど、処置はまだ終わらない。
「ヤダよ~っ!!」
「もう一回お歌うたおうか。 今度はおひなさま。 先生も聴きたいって。」
「ヤ~ダ~!!」
「ほら、せ~の……」
♪ …あがりをつけましょっ、ボンッボリに~っっ!! ♪
今度もやっぱり、きちんと歌ってくれた。
そんな様子を、診察室の外ではたくさんの大人たちが見守っている。
受付の私を含め、待合の患者さんたち皆が皆、ちょっと切ないような、そして本当に愛おしいというような表情を浮かべて……。
「じょうずだね~、おひなさま。
……よ~し、終わったよ!! はい、おしま~い!!」
ドクターのその言葉で、ようやく処置が終わった。
「偉かったね。 よく頑張ったよ! お歌も、とっても上手だったよ!!」
診察室を出て行く時、私は声をかけた。
大泣きしてまだ息が整わない女の子は、何も応えてはくれなかったけれど……。
毎日来院する小さな小さな患者さまたちは、みんなそれぞれ頑張ってくれている。
更新日:2015-11-15 22:35:26