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小説

携帯でもPCでも書ける!

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「八景島クルセイダーズ」 第8話 キャラメルの香りと鞄と金髪

沢渡中央公園のど真ん中で、ぐしゃぐしゃに泣き濡れている私は情けなくもナオヤに救いのメールを送りました。

「たすけて。」
とだけ本文に書いて。

『メアリめ!メアリめ!』
憤りと哀しみの混ざった感情で私の清らかな心はぐちゃぐちゃです。
私はこれから始まるであろう、恐ろしい高校生活の事を思うと、思わずぷるぷると震えてしまいます。
もう学校なんか行きたくありません。今からでも金高に転入させてもらうようにお父さんに相談してみようかとも考えましたが、せっかく高い学費を出して入れてくれた私立高校でしたし、わがままは言えません。
膝に当たる砂が痛くなってきました。私はゆっくりと立ち上がり、ベンチを探します。スカートの砂ほこりを払い、移動しようとしたところで、携帯が震えました。


・・・ナオヤ!?


ナオヤ!ナオヤだ!!


私は急いでポケットに入れた携帯を取り出し、メールを開きます。ナオヤから返信が来たのです。やっぱり頼れる奴なのです。
そう。高校はバラバラでも、地元は一緒!みんなは私と共にいるのです!


「モアーズの前で。」

本当に嬉しかったです。助けに来てくれる。やっぱり持つべきは友です。
わたしは急いで涙を拭き、鏡を鞄から取り出して、化粧を直し、横浜西口に向かい、走り出しました。
モアーズ前は横浜駅ユーザーには定番中の定番と言ってもいいほど有名な待ち合わせスポットです。シャル下かモアーズ前。
その2カ所を知らずして横浜は語れません。知らない人はきっとモグリに違いないのです。

モアーズの前に到着して、私はナオヤに電話をかけます。
でも出てもらえません。
よく考えれば、そりゃそうです。授業中なのです。
私は
「何時くらいに来れそうかな(;_;)」
とメールを打ちました。
顔文字だなんて、なんて可愛いのでしょう。そう。私は華の女子高生なのです。絵文字も顔文字も使いこなすのです!
まだ朝の10時過ぎ。授業が終わるまで5時間以上あります。
どのようにして時間を潰しましょう。

映画?
カラオケ?
マンガ喫茶?



・・・いえ、どれも孤独死してしまいそうです。

一通りの選択肢を却下し、私はひとまずモアーズのスターバックスでお茶を頂く事に致しました。
きっと授業が終わり次第、メールの返信か電話がくるはずです。
キャラメルマキアートは世間でもそうである様に、私の中に空前の大ブームを引き起こしました。私は今までコーヒーとは苦い薬のような飲み物だと思っておりましたが、こんなに美味しいものがあったなんて。
モアーズの入口がよく見える窓際に席を見つけ、鞄を向かい側のイスに着席させ、私も鞄と向かい合わせで座ります。鞄と共にティータイムを愉しむのです。
私が、キャラメルマキアートを飲もうとして迂闊にも舌を火傷した直後、携帯が震えました。
『わっ!わっ!』と慌てつつ、携帯を開く前に水を取りに行き、火傷した舌を冷やします。
ドジっ子なのでした。

更新日:2011-11-09 23:30:59