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☆::: 第三章  城の内と洋子の愛の行方:::☆

ここは、北海道富良野
城の内の別荘は、山間を抜けると人知れずひっそりと佇んでいる。
だが、真っ白の建物は豪華なイメージで一際目を惹いた。
土地が2000坪はあるだろうか。 テニスコート、プール、プチゴルフ、そして・・・テラスでは、パーティも出来るであろうスペースが広く取ってある。
洋子は、鍵を預かっていたようだ。
やはり、城の内は、危険を感じていたのであろう。

私たちがそこに着くと、間も無く一台の真っ赤なRV車が近付いてきた。

ドアを開け降りてきた男は、すぐさま城の内の傍に寄ってきて
「城の内社長、よくぞご無事で。 待っていました。皆さんもようこそ。 どうぞ中にお入りください」
「私は、以前社長に大変お世話になったものです。ここの管理人を任されています。 私は、青木と申します。社長をここまで連れてきてくださってありがとうございます」
青木と名乗ったその男は、丁寧に頭を下げた。

高木敬一郎も刑事であることを名乗った。そして、私たちのことも紹介する。
「今野さま ようこそ」
洋子のことは、知ってるようだ。
「社長から、いろいろと聞いております」
その男は、50歳くらいだろうか。
少し白髪が目立ち苦労したことが伺えた。

中に入るとワンルームになっていて、30坪くらいはあるだろうか。
大きな暖炉と広いソファーが異常に大きい気がした。 真ん中にテーブル。 そして、右奥を見ると・・そこには大きなテーブルと椅子がある。
それは、豪華な彫り物がよく手入れが行き届いていて眩しいくらいであった。
そして、真正面には壁いっぱいの大きさの油絵が掛けてある。

「あ・・・これだわ  社長が趣味で描いたものよ」
それは、この別荘を描いたものだった。
そこに、一人の女性が付け加えられるように外の椅子に腰掛けている。
それは、洋子のようであった。

城の内の気持ちなのだろう。
私はそう感じた。

「今、私の女房が食事の準備をするために、こちらに来ますのでご安心ください」

「お茶は、あるのかしら」
洋子は、早速お茶の用意をしたいようだった。
「はい。 こちらにございます」
その方向に洋子は付いて行き、間も無くしてお茶を運んできた。

更新日:2011-10-20 23:35:33

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