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小説

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雨の日

「ユウさん?」
「なにー」
こちらにいらしたんですか。と、京介がホッと
ため息をつく声が聞こえて、僕は寝返りを打った。
「身体の調子でも悪いのですか?」
「ううん、全然。雨だからゴロゴロしようと思って」
「ベッドの中で、ですか?」
「そう。ほら、ここの天井、丸く宇宙船の窓みたいに
なっているだろ。だから直接、雨が落ちてくる感じがして
すごくいいよ。特に今日みたいな大雨の日はね」
僕はベッドに横になったまま、天井を指差した。丸い
天窓に当たっては跳ね返り、砕けては流れていく雨を
見ているだけでも飽きない風情がある。
「ご一緒してもよろしいですか?雨の日をユウさんと
共にベッドでデート出来る幸運をお与えいただきたいの
ですが」
「いいけど。ホントにゴロゴロしているだけだよ?」
他にしたいことがあったら別に無理して付き合わなくて
いいんだよ。って、迂遠に言ったつもりだったけれど、
京介は笑って、それを一蹴した。
「着替えた方がよろしいですか」
「そうだねえ。皺になるからパジャマにしたら」
「いつ眠ってしまってもいいように?」
「見抜いているんだったら言うなよ」
ふふ、と僕は笑ってしまった。僕は、このゴロゴロ
タイムを勝手に予定していて、いつもより多く昼ごはんを
食べていたのだ。丸くなったお腹と、雨の音と、薄暗い
部屋と、時計が指す寝るには不謹慎な時間。
それだけ揃うことって滅多に無くて、これは楽しまなくちゃ、
って思えるものだろ。
京介は、大胆にもその場で服を脱ぎ(そして脱ぎ散らかし)
パジャマに着替えると、
「では、失礼して」
なんて、かろうじて真剣な顔を保っています。ってな
顔で、自分のベッドではなく、僕の寝ているベッドに
もぐりこんでくると、早速とばかりに、仰向けに寝ていた
僕を抱きしめてきた。
「言っておくけど、ゴロゴロするだけだよ?」
「だからネコみたいでしょう?」
なに言ってんだか。と、噴出した頬に口付けられた。
僕はそれからも本を読み、京介は専門書を枕に広げて、
寝そべりながら眺め、時々、思い出したように頭をくっ付けて
雨の音を聞き入り、そして、本当にたまに自分勝手にキスを
して。

そのまま寝ちゃった。しかも夕方まで。
起きたら雨は止んでいて綺麗な夕焼けが見れるから、と。
今度は食事に誘われた。
断る理由が見当たらないよ!こんな休日もいいよね。

更新日:2009-01-10 22:07:26