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Memory02:Vな新学期/物扱いと皇帝と再生コンボ

ミッド首都、クラナガンに張り巡らされたハイウェイを、一台のバイクが颯爽と駆け抜けていく。

車体側面の赤いS字がトレードマークの、黒いヨーロピアンスタイルのカスタムバイク。

通称名『スカルボイルダー』。

説明するまでもないが、我らが主人公、紅雅也の愛車である。

このバイク、六課に民間協力者として滞在していたとき、魔改造に定評のあるフィリップの手で改良が加えられている。
理由は簡単、ミッドにガソリン等の化石燃料が存在しないからである。

ミッドチルダで普及している【地球で言う車やバイク等】は、『モーターモービル』と呼称され、その駆動機関も地球のそれとは大きく異なる。
地球の車両が今だガソリンエンジンが一般的なのに対し、ミッドの車両は水と少量の科学触媒を組み合わせた燃料で内燃機関を駆動させるシステムだ。
このシステムで排気されるのは、微量の触媒煙を含んだ水蒸気のみで、大気を汚さない環境に配慮したものとなっている。

元々、スカルボイルダーや同型のハードボイルダーは、ガソリン駆動でも排気ガスを一切出さない究極のエコエンジンだったのだが、上述のとおりミッドにガソリンが無かったこと、ミッドの魔法技術にハマったフィリップが面白半分に改造を進めた結果、こうなったのだ。

余談だが、ハードボイルダーと照井の『ディアブロッサ』は、風都に戻った際に元のガソリン駆動に戻している。










スカルボイルダーを操り、雅也が向かっているのは『陸士108部隊』。
3日程前に発生したドーパントと思われる(この時点ではまだ確定情報じゃない)殺人未遂事件を担当することになった部隊だ。
さらには今日中に執務官が合流し、捜査本部を設置するとのことである。

合流する執務官は、“フェイト・テスタロッサ・ハラオウン”。
元機動六課ライトニング分隊隊長で、執務官としても数々の事件を解決した歴戦の勇姿だ。

武装局員数名を赤子同然のように捻り潰した怪物が現れたとあっては、そんじょそこらの部隊で対処出来るような事件じゃないと本局が判断し、彼女の派遣を決定した。
フェイト自身も、かの『JS事件』の時に怪物と交戦しているため、その経験を買われたのだ。
彼女の補佐官に仮面ライダーオーズ…火野映司がいることも大きい。

彼女達ならきっとすぐに解決してくれるだろうと、本局も思ったのだろう。

それはいい。
それは別にいいんだが…

―――何故真っ先に雅也の所へ話が行かなかったのかが…不思議でならない。

「畜生―――クロノあんにゃろぉぉぉぉぉぉっ!!?」

そんな雄叫びをあげながら、雅也は一発免停になりかねない速度でハイウェイを突っ走って行った。

…とりあえず雅也、クロノが決めたわけじゃないからな?






更新日:2012-12-17 01:51:12

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仮面ライダーW〜鮮烈(ViVid)な物語〜