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「…ねぇ、沢本君」
「何?」
「ラヴクラフトの小説の中にインスマスっていう町が出てくるでしょ?
そこに住んでる人達って、顔や身体が魚みたいにエラや鱗(うろこ)が
生えてたり、水掻きがあったりするじゃない?本当に、
そんな魚人間のいる町があったら怖いよね」
「インスマス自体、架空の港町なんだ。でもそれは前にも言ったけど、
事実を直接的に表現するのを避け、造語によって地名などを
隠しているとも考えられる。実在すると信じるも良し、無いと
無視するも、また良しだ」
「うん」
「彼の記述によればインスマスの人達は『深きものども』…あ、これは
クトゥルーやダゴンに仕える種族の事で、ほぼ完璧な魚人なんだけどね。
こいつらの血が混じるから、あんな姿になるみたいなんだ」
「混じると、どうなるの?」
「さっき冴木さんが言ったようにエラや鱗が生え、水の中ででも
活動が出来る、見た目には中途半端だけど、えらく不気味な魚人間が
完成するんだよ」
「なぜ血が混じるのかしら?」
「たぶん…交配…だと思う」
言葉を模索するように言った。
「じゃ、その子供も?」
「もちろん。ただし、こちらは成人になる頃から少しずつ変容
していき、数年後には完全な形で『深きものども』になってしまう」
「怖いね」
「うん。でもなんで急に?」
「ただ、ちょっと…じゃあさ、蛙人間てのもいるかなー?」
優香は幼い頃、自分の言ったという台詞を思い出していた。
「蛙人間? どうかな…ラヴクラフトの小説の中には地中に穴を掘って
這い回る怪物の話もあったけど…そうだ! 冴木さん、
『不思議の国のアリス』って知ってるよね?」
「ルイス・キャロルね」
「正解。それじゃあ、これも憶えてるかな?アリスが兎(うさぎ)の
穴に落ちて右も左も分からず、歩き回っていた時の話を。アリスは
穴の中で不思議な光景を目にした!」
「なに? なに? 何を見たの?」
「それはね…」
「うん、うん」
優香の瞳が興味深げに、また輝きを増した。
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「…ねぇ、沢本君」
「何?」
「ラヴクラフトの小説の中にインスマスっていう町が出てくるでしょ?
そこに住んでる人達って、顔や身体が魚みたいにエラや鱗(うろこ)が
生えてたり、水掻きがあったりするじゃない?本当に、
そんな魚人間のいる町があったら怖いよね」
「インスマス自体、架空の港町なんだ。でもそれは前にも言ったけど、
事実を直接的に表現するのを避け、造語によって地名などを
隠しているとも考えられる。実在すると信じるも良し、無いと
無視するも、また良しだ」
「うん」
「彼の記述によればインスマスの人達は『深きものども』…あ、これは
クトゥルーやダゴンに仕える種族の事で、ほぼ完璧な魚人なんだけどね。
こいつらの血が混じるから、あんな姿になるみたいなんだ」
「混じると、どうなるの?」
「さっき冴木さんが言ったようにエラや鱗が生え、水の中ででも
活動が出来る、見た目には中途半端だけど、えらく不気味な魚人間が
完成するんだよ」
「なぜ血が混じるのかしら?」
「たぶん…交配…だと思う」
言葉を模索するように言った。
「じゃ、その子供も?」
「もちろん。ただし、こちらは成人になる頃から少しずつ変容
していき、数年後には完全な形で『深きものども』になってしまう」
「怖いね」
「うん。でもなんで急に?」
「ただ、ちょっと…じゃあさ、蛙人間てのもいるかなー?」
優香は幼い頃、自分の言ったという台詞を思い出していた。
「蛙人間? どうかな…ラヴクラフトの小説の中には地中に穴を掘って
這い回る怪物の話もあったけど…そうだ! 冴木さん、
『不思議の国のアリス』って知ってるよね?」
「ルイス・キャロルね」
「正解。それじゃあ、これも憶えてるかな?アリスが兎(うさぎ)の
穴に落ちて右も左も分からず、歩き回っていた時の話を。アリスは
穴の中で不思議な光景を目にした!」
「なに? なに? 何を見たの?」
「それはね…」
「うん、うん」
優香の瞳が興味深げに、また輝きを増した。
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更新日:2015-07-11 16:25:48