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小説

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ここまでの、あらすじ

 主人公、冴木優香は高校2年生。
 彼女は幼い頃、両親の実家近くの川原で遊んでいて足を滑らし落ちた。
 溺れそうになったところを兄が助けてくれたが、代わりに兄は
帰らぬ人となってしまった。

 優香は「魚の人が、お兄ちゃんを連れて行った」と泣きながら
訴えるが、誰も信じてはくれない。

 以降数年、幼い優香は蛙や魚の形をした化け物に襲われる夢を
何度も見るが、それもしだいに年月と共に記憶から薄れていく。

 10年の歳月が流れ、優香は16歳になった。
 ひょんな事から知り合った風変わりな外人(ジョナサン)は、
優香に好意を寄せ一枚の油絵を差し出した。

 それは平凡な風景画だった。
 景色に見覚えは無いが、美しい自然に魅かれ優香はその絵を
持ち帰る。

 その夜、優香は兄の夢を見る…だが目覚めると夢の記憶は無く、
さらに壁に貼られていた大切な写真が何者かによって無残に
剥ぎ取られていた。

 それは優香が、兄と仲良く一緒に写っている幼い頃の大切な写真
だったのだ。

 翌日、親友の麻梨、そして2人と同じミステリークラブに所属する
耕平と共にジョナサンの住むアトリエへと足を運んだ。

 そこで3人が見たものは化け物が描かれた一枚のキャンバスだった。
 蛸(たこ)に似た頭部に鬼のような鋭い目、そして左右に大きく
開かれた翼には、鋭い鉤爪(かぎつめ)を容している。

「何故、この絵が…ここに」
 耕平の漏らした一言によって優香は、えもいわれぬ恐怖の予感に
苛まれた。
「何か大変なことが起きる」

 そう感じた矢先、目の前でジョナサンが倒れた。
 目に見えぬ恐怖は、その後も優香を襲った。
「助けて…お兄ちゃん…」
  いつしか優香は、この世にはいない兄に救いを求めていた。
 翌日、病院を抜け出したジョナサンは不吉な夢の話しを優香に
話して聞かせる。

 同じ頃、優香の住む町の至る所で不思議な出来事が起きていた。
 合わせるかのように、優香の見る奇妙な夢も毎日のように続いた。

 『忘れていた事を思い出せ…川の流れが…結ぶ場所…』
断片的に聞こえた夢の中でのジョナサンの声。

「ジョナサンが危ない!」
 何かを察した優香は耕平と麻梨に連絡を取り、急ぎアトリエへと
向かった。
 だがすでに時遅く、そこにはただ一頁の日記の切れ端と油絵だけが
残されていた。

 日記には、こう書かれていた。
『仲良く遊んでいる兄妹の姿が見える…女の子が足を滑らして川に
落ちた…』

(10年前のあの日、あの場所にジョナサンがいた?)
 優香は幼い頃の記憶を懸命に手繰(たぐ)り寄せるが思い出せない。
3人は静かにアトリエを出た…。

更新日:2015-07-13 19:28:18