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挿絵 551*730

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 ハワード・フィリップス・ラヴクラフト。
 1890年8月20日アメリカ、ロードアイランド州の旧都、
プロヴィデンスに生まれる。

 47歳という若さで、この世を去るまでに数多くの怪奇小説を
残してるが、その最も代表的な作品が『クトゥルー神話』である。

『…悠久の太古、地球がまだ始源状態にあった時、最初の
支配者が現れた。
 その姿はあまりに巨大で忌まわしい形であったために邪神という
名称が与えられた。
 やがてクトゥルーを始めとするハスター、クトゥグア、ヨグ=
ソトース…これらの邪神たちが、永きにわたって宇宙の秩序を
護り続けてきた
 <旧神>に戦いを挑む。
 戦いは一方的に<旧神>の勝利に終わる。
 破れた邪神、<大いなる旧支配者>達には罰が下った。

 アルデバラン近くのヒヤデス星団に追放されたハスター、
地球の氷に閉ざされた北極へ追放されたイタカ、
そしてヨグ=ソトースは時空連続体を越える混沌の中へ…
 クトゥルーは太平洋ポナペ沖の半宇宙的海底都市ルルイエに幽閉、
その他も旧神に敵対した者は、ことごとく追放もしくは幽閉を余儀なく
されたのである。

 いかなる理由によって<神々>が対立し、どのような力で封印
されたのか分からない。
 いずれにしろ我々人類には知る由もない。
 だが地球に追放、幽閉された<大いなる旧支配者>達は彼らを
崇拝し仕える、邪悪で奇怪な者たちと共に今も復活の機会を
伺っている…』

 これがH・P・ラヴクラフト描くところの『クトゥルー神話』の
概要である。

 彼は文字通り人生の全てをこの神話の編纂(へんさん)に捧げ、
ついには謎の怪死をとげている。

 死については諸説が乱れ飛んでいるが、その真偽の程は定かでは
ない。

 彼の事を、「文明と物質主義に背を向け、現実を拒否した病的な
小説家」と呼ぶものもいる…。

 しかし彼は息を引き取るその直前まで、この星の知られざる知的
生命体について書き記し、まさに絶望と恐怖が混沌と支配する事実を、
現代(いま)の我々に連綿と伝えているのだ…。

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更新日:2015-06-27 16:53:47

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