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小説

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「…ふーん。それでお医者さん、なんだって?」
 麻梨は本当に何でも首をつっこみたがる。
 好奇心が人一倍旺盛と言えば聞こえはいいが、それが例え
試験前日だろうが平日の深夜だろうが、電話をかけてくるのだから
困りものだ。

「うん…ただの過労じゃないかって。明日、精密検査するらしいん
だけど…疲れるような事なんか、してないみたいだけどね」
 知人として唯一、救急車に同乗した優香が病院で聞いた事を話す。
「へー、どうしちゃったんだろうねぇ。いわゆる、あれかな?慣れない
日本でストレスたまったとか」
「えーー? そうかなー。そうは見えなかったけどなー」
「外人ってさ、日本人が考えてるよりずっと、ホームシックに
かかりやすいらしいよ」
「ふーん、ホームシックねー…」

「そうだよ、きっと。だから優香みたいなのでも、友達出来て嬉し
かったんじゃない?」
「私みたいなので悪かったわねー」
「怒るな。怒るな。優香には優香の良いところがきっとある」
「もう頭にきた! 電話切っちゃおうかな。だいたい今、何時だと
思ってるの? 12時過ぎだよ。12時過ぎ! しかも明日は
試験だしー」

「優香あんた、もしかしてテスト勉強してたの?」
「そうだよ、あったり前じゃん。いい点取らなきゃ、夏休みどこにも
遊びに行けないんだからね」
「私んちなんか何も言わないよ。娘の実力は親が一番知ってるんじゃ
ない? だって遺伝…」
 麻梨の話を全部聞き終わらないうちに、優香の目と耳は玄関へと
向けられた。

(何だろう? 今、車が通った時の灯りで映った影…人の形に見えた…
誰か外にいる…? 泥棒だったらどうしよう…お父さん起こして
こようか。でも見間違いかも…)

「ねえ、優香。また人の話聞いてなかった。あんた最近おかしいよ」
「今ね、玄関の外に誰か立ってたような気がしたの」
 ドアの磨りガラスに映りこんだ影の事を言う。
「え? 嘘っ、やだなー。気味悪いね…電話切ろうか」
「うん。ごめん」

 ガチャン!

 静かに置いたはずの受話器が、静寂を打ち破るほど大きな音を
立てたので驚いた。

 何かが起こる…昼間感じた胸の鼓動の記憶が一瞬甦った。
 玄関の薄明かりの下で、優香は漠とした未来を予感していた…。

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更新日:2015-06-27 16:45:35