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「記-さけび-憶」 5
「ピッピッ・・・ピッ・・」
『母さん!』
・
・
・
医者の賢明な救命により、俺の母親「小川 愛美」は息を吹き返した・・
だが、医者曰く、命は助かったが元の母親とは限りないと言った・・植物人間の可能性がたかい・・と言っていた
俺はどんな状態でも母親に死なれるよりはましだ・・その時そう思った・・
その後、祖母が病院に急いで駆け付け医者に事情を聞いているようだった。
祖母は俺の事をとても憎んでいる・・以前、我子(愛美)をこんな風にしたのは俺が生まれたのが原因である。
俺の存在が母さんの精神状態を悪化させている、高校を卒業したらとっとと山形を出て行ってほしいと言われていた・・・
勿論、俺もそのつもりだった・・・俺は山形を離れ、父親を探そうと決めていたからだ・・
だけど・・今日の母さんを見ていたら・・そんな事どうでも良くなった・・・
自分の命が消えそうなとき、彼女(愛美)の言った言葉は・・
『京ちゃん・・・会いたかった・・・愛美・・ずっと待っていた・・・』
だった・・・名前こそ同じだが、間違いなく俺に向けた言葉ではない・・・
あの時は気にならなかったが、少し落ち着いた今考えると・・実に健気であり・・哀しいものだと思った・・
俺が本当に母さんの求める「京介」ならば母さんはどんなに幸せな事だろう・・・そして俺も心の底から求めたのだろう・・・・
それから数日後、母は植物人間と診断された・・・
もともと、精神が壊れている人間として扱われてきた分、動かないだけ看病は楽なものだった・・
眠る母の横顔を見ながら俺はぼんやりと月を眺めた・・・
月明かりが母さんの顔を照らし、青白く見えた・・・
「まるで死人の様だ・・」俺は心の中で呟いた・・・
「これからどうしたらいいんだ・・・」
祖母は眠り続ける母は「俺をもう必要としていていない」と言った・・
今までは俺を昔の恋人と思い込み俺が来るのを待っていた・・・だけど今はもうそんな母はいない・・
来る日も来る日も目を開けることなく言葉を話す訳でもなく、ただベットで眠りつづけ点滴を繰り返している・・
祖母が俺を疎ましく思うのも無理はないだろう・・
「・・・・」
俺以外の声が聞こえた・・・慌てて母さんを見た・・・
『京・・ちゃん・・・』
『かあ・・さ・・ん・・・』
『手紙・・手紙・・・』
『手紙?手紙がどうしたんだ?母さん』
愛美は弱々しい眼差しで室内に設置されてる棚を見つめた・・
「ここに何かあるのか?・・」
俺は棚の引き出しを引いた
「ガー・・」
するとそこには1枚の封筒が置かれていた
それを手にして母さんに向けた
母さんは少し笑みを浮かべたような表情に見えた・・
『これを見ればいいのかい?母さん』
とても優しい表情で俺を見てきた・・・
今までに、こんな顔をされた事が一度もなかった・・・
母さんは本当に母さんとして目を覚ましてくれたのかもしれない・・
「ガサガサッ」
手紙を見るとそこには母さんの名前が書かれていた
『母さん!』
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医者の賢明な救命により、俺の母親「小川 愛美」は息を吹き返した・・
だが、医者曰く、命は助かったが元の母親とは限りないと言った・・植物人間の可能性がたかい・・と言っていた
俺はどんな状態でも母親に死なれるよりはましだ・・その時そう思った・・
その後、祖母が病院に急いで駆け付け医者に事情を聞いているようだった。
祖母は俺の事をとても憎んでいる・・以前、我子(愛美)をこんな風にしたのは俺が生まれたのが原因である。
俺の存在が母さんの精神状態を悪化させている、高校を卒業したらとっとと山形を出て行ってほしいと言われていた・・・
勿論、俺もそのつもりだった・・・俺は山形を離れ、父親を探そうと決めていたからだ・・
だけど・・今日の母さんを見ていたら・・そんな事どうでも良くなった・・・
自分の命が消えそうなとき、彼女(愛美)の言った言葉は・・
『京ちゃん・・・会いたかった・・・愛美・・ずっと待っていた・・・』
だった・・・名前こそ同じだが、間違いなく俺に向けた言葉ではない・・・
あの時は気にならなかったが、少し落ち着いた今考えると・・実に健気であり・・哀しいものだと思った・・
俺が本当に母さんの求める「京介」ならば母さんはどんなに幸せな事だろう・・・そして俺も心の底から求めたのだろう・・・・
それから数日後、母は植物人間と診断された・・・
もともと、精神が壊れている人間として扱われてきた分、動かないだけ看病は楽なものだった・・
眠る母の横顔を見ながら俺はぼんやりと月を眺めた・・・
月明かりが母さんの顔を照らし、青白く見えた・・・
「まるで死人の様だ・・」俺は心の中で呟いた・・・
「これからどうしたらいいんだ・・・」
祖母は眠り続ける母は「俺をもう必要としていていない」と言った・・
今までは俺を昔の恋人と思い込み俺が来るのを待っていた・・・だけど今はもうそんな母はいない・・
来る日も来る日も目を開けることなく言葉を話す訳でもなく、ただベットで眠りつづけ点滴を繰り返している・・
祖母が俺を疎ましく思うのも無理はないだろう・・
「・・・・」
俺以外の声が聞こえた・・・慌てて母さんを見た・・・
『京・・ちゃん・・・』
『かあ・・さ・・ん・・・』
『手紙・・手紙・・・』
『手紙?手紙がどうしたんだ?母さん』
愛美は弱々しい眼差しで室内に設置されてる棚を見つめた・・
「ここに何かあるのか?・・」
俺は棚の引き出しを引いた
「ガー・・」
するとそこには1枚の封筒が置かれていた
それを手にして母さんに向けた
母さんは少し笑みを浮かべたような表情に見えた・・
『これを見ればいいのかい?母さん』
とても優しい表情で俺を見てきた・・・
今までに、こんな顔をされた事が一度もなかった・・・
母さんは本当に母さんとして目を覚ましてくれたのかもしれない・・
「ガサガサッ」
手紙を見るとそこには母さんの名前が書かれていた
更新日:2011-10-05 21:33:39