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挿絵 512*384

 どれほど歩いただろうか・・・。
奥へ進めば進むほど濃くなってゆく瘴気。
姜維は意識が途切れそうになるのを必死で押さえ込むが、容赦ない濃い瘴気が体力をじわじわと奪い、精神をも蝕み始める。

 そして姜維がその限界を感じ始めた頃、先行する郭嘉の叫び声がその耳に響いた。
「あったぞ!これこそ僕達が追い求めた力・・・三璃紗を支配する力!!」
 祠に安置された、龍を象る漆黒の偶像。
これこそが、かつて三璃紗の地を危機に陥れたと云われるほどの巨大なる闇の力。
世の全ての闇を凝縮し、手にする物に無限の闇の力を与えると伝わる”暗黒玉璽”であった。 
 郭嘉は求めた力を前に、笑いが止まらなかった。
そして封印の祠へと手を伸ばす。
僅かな抵抗はあったものの、その封印はすでにないに等しく、暗黒玉璽は容易く郭嘉の手中に収まった。
それは手にした瞬間から体になじみ、洞窟の入り口で感じた以上の快楽が郭嘉の全身を包み込んだ。
 そして止まらぬ笑いを噛み殺し、姜維の居る方へと向き直る。
「まさか気付いていないとでも思っているのですか?」
 郭嘉は尾行する姜維のことに気付いていた。
姜維はばれては仕方ないと、抵抗することなく姿を晒した。

更新日:2011-08-21 18:05:41

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