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「この小僧に足りないもの・・・それは間違いなくレベルと経験だ。拠点まで徒歩で行けば、自然と戦えるレベルになっとるはず。なぁに、心配はいらん。儂が着いている!!」
たしかにこの人は強い。
もし、ピンチになっても、この人がいればゲームオーバーは免れる。
でも、清水たちの反応を見る限り、それでも危険な道なのだろう。
「・・・どのルートでも、あの坑道は抜けるんだぞ? 分かってんのか? それに、リーダーがそんなこと許さない、絶対に!!」
「どんな道だろうと、儂はこいつを守る!! お前らは先に言って、今回得た情報をあいつに伝えろ。拠点に着いたら、リーダーには儂が謝る。それで解決」
だいぶ揉めているようだが、この口論の勝敗はほとんど見えてきた。
おそらくだが、こうなった天狗はもう譲らない。
それにレベルを見ても、二人より立場は少し上のはず。
「アンタなぁ・・・!!」
「よせ、荒木。こうなったら、俺たちをぶっ飛ばしてでも行くんだろ? なら、止めない。だが、条件がある・・・俺も同行させてもらおう」
終わりを見せたかに思えたこの争い。
だが、次は清水が提案をしてきた。
「なっ・・・お前まで!!」
「黙ってろ。いいだろ、天狗?」
「好きにしろ。だが、荒木。お前は報告に行け。あいつもいち早く的確な情報を知りたいだろうしな」
「んなっ、メールで簡易報告は済ませてあるだろうが!!」
ここまで文句を言った荒木。
蚊帳の外へ追い出されたようで、不服だったようだ。
しかし、天狗の鋭い目線で渋々黙り込む。
「すまんな」
「ちっ、この勝手な行動はちゃんとリーダーに伝えるからな」
捨て台詞のようにそう吐き捨てた荒木は、自分のワイバーンに乗り、颯爽と飛び立っていた。
更新日:2011-08-23 16:10:23