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濃霧の谷


木瀬悠太/


初回ログインより1週間。

ボクは初心者支援ギルド『ハート』の一員として、今もなお、オンラインゲーム『アナザー』をプレイしていた。

いじめられっ子で落ちこぼれのボクを『ハート』の皆は、温かく迎えてくれて、いろんなことを教えてもらった。

とは言っても、初めてログインしてから、まだ2回しかログインしてないんだけど。

というのも、リアルの世界のほうでいろいろあったからだ。


「悠太の生還を祝って・・・」

「「「乾杯!!」」」


今は、ボクの正式な『ハート』入団を祝ったパーティーの真っ最中。

つい先日、例の黒い腕時計、“MB”がボクの元にも届いた。
それは死の呪縛とも言える、『アナザー』の影の部分。

『アナザー』の隠された真実。それが、影の部分。
ボクもその影に飲み込まれてしまったみたいなんだ。


「最初のミッションは何だったんだ?」

「ゴブリンの討伐でした」


MBを装着後、“特質者”として認定された者は、未知の技術によって、肉体ごと“ゲームの世界”へと転送される。

その世界へと転送された者は、ミッションをやり遂げ、帰還する必要がある。

MBは取り外し不可能で、一度MBを装着した者は、不定期で“ゲームの世界”に強制転送され、ミッションを熟していかなければならない。


そして、ボクもその“特質者”という人間だったらしい。


更新日:2012-04-08 17:53:51