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炎上


扉を開き、目に飛び込んできたのは、またしても赤い絨毯だった。
その絨毯に沿うようにして数十の兵士たちが姿勢を正して立っている。

10m先には、初めて見る玉座と国王。


「前へ」


国王の指示で俺たちは赤い絨毯を少しでも汚さないようにと気遣いながら、前へと進み出る。トニーが先頭、俺と輝也がその両脇に歩く。

トニーが国王の前で立ち止まったのを見て、俺たちも止まる。


「伝令書です」


トニーは国王に伝令書を渡すと、片膝をつきお辞儀をした。
それと見て、俺たちも慌てて膝を着く。


「うむ。うちの若き兵士を助けてくれたようで、儂からも礼を言わせてもらおう。今夜はこの城で休むがよい」


今夜というのも、このゲームの世界では体感時間は現実よりも遅い。
要するに、時間の流れが遅いんだ。

だから、こっちの世界で一日いようが向こうでは数十分にしか満たない。
もし、現実世界の時間が気になるようなら、このガントレットで確かめることもできる。


「それと、後で少しばかりだが、お礼の品を渡そう。君、良い物を選んで、部屋に置いておきなさい」

「あ、いや、そこまでしてもらわなくても・・・!」


なんて人柄のいい国王なんだ。

一兵士、それも新人で下っ端の兵士が少しお世話になったからといって、城に一日滞在させてもらうどころか、物までくれるなんて。

俺はこの国王の寛大さに心底感動していた。



更新日:2011-08-15 18:10:04