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呪縛の腕輪


――同刻。

・・・藤原 慶




『アナザー』の初ログインから四日目の朝。


俺は二日に及ぶ高熱に見舞われ、一度も『アナザー』にログインすることができていなかった。

今朝、やっと熱が引いたところだ。


「熱なんて何年ぶりだろうか」


生まれつき体の強かった俺は、小学校の頃から皆勤賞をとり続けてた。
それくらいに病気知らずの俺が風邪を引くなんて、何か良からぬことが起きるかもしれないな。

今日は久しぶりの出勤だ。
俺の職業は、アパレル系とホステス。

昼間は大手アパレル企業で働き、夜になると歌舞伎町のとある有名クラブで働いている。そんなこともあり、金に困ることは無い。

俺は早々に朝の支度を終え、玄関へ向かう。




「――!?」



一瞬、目を疑った。
そして、同時に嫌な予感を感じた。

玄関にさも当然のように置かれていたのは、小さな黒い小包。

爆発物?
第一にそんな推測が浮かぶが、それもすぐに消える。

俺の家を爆発して何が面白いって言うんだ。


「じゃあ、何だ?」


その箱には、得体の知れない不気味な雰囲気が漂っていた。

両手の平にちょうど乗る程度の大きさ。
これと言って、おかしな点は無い。

だが、そもそもだ。
なぜ、俺の家の玄関に置いてある?


そこが最大の疑問にして、もっとも不自然なところ。


ちゃんと鍵は掛かっている。

俺が一昨日帰ってきたときには置いてなかったし、もちろん俺が置いたわけでもない。

じゃあ、誰がどうやってこの扉を開け、何のためにこの箱を置いていった?

俺が高熱にうなされている間に、どこかの知らない誰かさんがこの場所に来た、そう考えると、全身の毛が逆立った。

俺は恐る恐る箱へと近づく。


「・・・?」


黒一色の箱には、黒一色に染められた封筒のようなものが添付されていた。漆黒の封筒に、不気味な明朝体で書かれた白い文字が浮かび上がって見える。

俺はその手紙を慎重に手に取る。





“『アナザー』運営委員会”




更新日:2011-10-22 22:24:44