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女三人+犬一匹

“大事故”のおかげで、バタバタと大騒ぎになったものの、なんとか午後三時までの営業時間を終えた。ガラスの修理は突貫工事で行われており、今日の夜までにはなんとかなりそう、とのこと。
 ロビーから最後のお客さまを送り出した直後、いかにも「待ってました」とばかりに、支店長から睦・茜・小雪の三人は、支店長席前に呼び出された 支店長は、机に肘を突きながら、おもむろに口を開いた。
 「君たちはだ・・・。いざ、ことが起こったら、三人揃って、鉄砲玉のように飛び出していってしまうんかい・・・・。そうなるとだ。次、もしまた、いざということが起こったら、私は、まずなによりも、君たち女の子三人が飛び出していってしまわないよう、三人もの女の子の首根っこを、抑え付けなきゃならんのかい・・・・・」
 三人は、一応申し訳なさそうに首をうなだれていたが、茜がおずおずと顔を上げて、口を開いた。
 「あの・・・、支店長。お言葉を返すようで申し訳ありませんが、私、子供は二人いて、毎日バリバリ120%“おばさん”全開していますから。女の子は二人です。二人なら、支店長。片方の手で一人ずつ、抑え付けることはできます」
 小雪が、続く。
 「はい、支店長。私が前の支店では“鉄のお局様”と呼ばれていたことは、ご存知だと思います。本当は、私なんて、さっさと円満退職して欲しいクチだってことは、自分でも承知しておりますわ。そう、支店長は、いざという時は、正真正銘のピチピチギャル、御仮屋さんをトッ捕まえて、机にギュ~と抑えつけておくこと、お願いします」
 「ふ~~~・・・・」
 支店長は、呆れたというようにため息をついた。
 「・・・・、まさか、御仮屋くんまで、なにか減らず口を叩くつもりじゃないだろうな・・・」
 茜・小雪・支店長の視線が、睦に集まった。睦は黙ってお説教を聴いているつもりだったが、ここはなにか言わなければならないのか・・・。
 「あ、あの~~。私は、仕事中ハイヒールを履くことを止めます。私は、チビはチビなりのフットワークのよさを活かして、少しでも紫尾支店に貢献したい、と思います」
 ややトンチンカンであるとは解っているが、それでも自身が思っていることを話したつもりだ。
 瞬時に
 「たわけっ!」
 と、支店長に、一喝されてしまった。
 「どこの世界のテラー(窓口係)に、机の上に現金をほっぽらかして、飛び出していってしまうヤツがいるんだっ」

更新日:2011-08-11 10:32:04

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