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小説

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俺が殺した女

 いつもの山道のドライブコース。眼下に夜景が広がる人知れない絶景ポイントで。
 俺は愛人を、殺した。金曜の夜。
 そして、週明けの今朝。
「課長。おはようございます」
彼女は何事も無かったように出社した。
 確かに殺した。絞殺し、埋めた。
 終業後、こっそり、彼女をつけた。しかし、見失い、次の瞬間。
「どうしたんです?」
彼女が背後に立っていた。慌てる俺に彼女は笑って
「こんな所では目立ちますね。ドライブしながら話しません?いつものコースで」
と言う。断れなかった。
 車を走らせる。週末と同じように。そして、例の場所に。
 俺は恐る恐る尋ねた。
「君は一体」
「気づきません?時々入れ替わってたのに」
「え?どういう…まさか双子」
「ここで、殺したんですよね、課長。家族にバラすと言われて」
「当然だろ!」
「冗談だったのに。でも殺人って」
その言葉を遮り、俺はまた、彼女の首を絞め。
 殺した。
 一人も二人も同じだ。

 そうして逃げ帰った俺は、翌朝、何食わぬ顔で出社した。すると。
「課長。おはようございます」
再び彼女が。
 彼女はこっそり近づいてきて
「まさかあんな嘘、真に受けたんですかあ?クスクス」
と、心底楽しそうに微笑んだ。

更新日:2011-07-29 19:11:02