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小説

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指輪

「あれ?これ…」
 別れた男から貰った指輪を高校時代の悪友の実家である質屋に持ち込んだところ、件の悪友が呟いた。
「何?」
「いや、これ、ウチで扱うの3回目だわ」
「ああん?」
「あんま言っちゃいけないんだけど、ここだけの話、質流れ品よ。これ」
「マジで?ムカつく。そんなのプレゼントしてんじゃねーよ」
「持って来てるあんたが言う?」
けど、そんなに頻繁に質に流れるなんて。
「呪いの指輪かよ」
悪友が代弁した。
「カップルが別れる度に流る、ってか、こいつが別れさせてんじゃね?」
面白半分に弄ぶ悪友から、私は指輪を取り返す。
「?」
「興味湧いてきた」
「えー?」
「ある意味ラッキーアイテムじゃん。彼女付きの男にこれを渡せば、女物だから彼女行き。で、別れる」
「えー、どうよそれ」
「ま、ちょっと持っててみるよ」
「趣味悪」
閉口する悪友を尻目に指輪をしまい、帰路につく。
 その途中。
 私は、交通事故に遭った。命に別状は無かったが、指輪はどこかへ行った。
 けれど、私は探す気にはなれなかった。
 事故の瞬間、聞こえたのだ。野太い男の声が。
「邪魔するな!」


 今もあの指輪は、誰かを探して質屋のショーケースに並んでいるのかもしれない。

更新日:2011-07-28 23:26:22