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小説

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ルーム

午前3時。

洋一は震える手でキーを取り出すと、ガラスドアを開けて母のマンションのエントランスに足を踏み入れた。
エレベーターで35階へと上がると、扉を開けて部屋に入る。
玄関は暗く冷えていた。

すぐそばにあるスイッチを押して明かりをつける。
短い廊下が、彼をいざなうようにパッとあらわれた。
誰もいないのに、洋一はそっと足を忍ばせて進んでゆく。

2LDKのどこにでもある小洒落た部屋だった。
これまでもここへは何度もやってきていた。
別に母を偲ぶわけではなく、組や彼女たちに知られていない、独りっきりになれる場所だったからだ。

また壁際にあるスイッチを押して照明をつけると、人が住んでいないことが不思議なくらい物がそろった寝室が映し出された。
母・凛はすべてを置いて、この部屋を出て行ったのだった。

理由は知らない。
実は大雑把で豪快なところがある凛なので、面倒で身一つで去ったのかもしれない。

そしてここで洋一は、全裸になって鏡の前に立ってしまったのだった。

更新日:2011-07-17 03:49:42