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パイナップルサンド

「例えばだよ?SOIL&“PIMP”SESSIONSがSOIL&“PIMP”SESSIONSじゃなくなったらなにになると思う?」
「そりゃあSOIL&“PIMP”SESSIONSじゃなくなるでしょ」
「そんなことわかってるよ。なにになるか、って聞いてるんだよ」
 1人で酒でも飲もうかと立ち寄った店で面倒くさい酔っ払いに絡まれてしまった。なんでも彼はSOIL&“PIMP”SESSIONSが好きらしく、さっきからこの手の質問を繰り返している。
 店主はブランキーが好きらしく店の名前もブランキーのアルバム名ならメニューもブランキー絡み。パイナップルサンドなんて本当に作るかよバカじゃねぇの、と思わず呟きそうになって顔を上げると、いかつい龍の刺青が彫られている腕が視界に入ってあわてて口を閉じたのはついさっきのことだ。もちろんこの店のBGMもブランキー。今は「ガソリンの揺れ方」が流れている。1日中同じバンドの曲聴いてて頭おかしくなんないのかねぇ、と考えてあぁそうかクスリでもやってるんだなと結論付けた。そもそもブランキーに惚れるなんてまともな人間にはできない芸当だ。
「なぁ、なんになるんだよ」
 知らねぇよ、と息を吸い込んだのと同時にアメリカンサイズのハンバーガーが乱暴な音をたててテーブルに置かれた。目線を上げると先ほどの刺青の男がぎろりとこちらを睨んだ。ように見えた。ハイネケンと伝票を置いてカウンターに引き上げて行く彼の後姿はハーレーを連想させた。パンから肉もレタスもはみ出した特大のハンバーガーを目前にして、思っていた以上にお腹がすいていることに気づき、かぶりつく。と、ハンバーガーでは味わうことができないはずの、酸味のある甘味が広がる。悪くない。
 半分ほど平らげたところで、質問の答えを律儀に待っている男と目を合わせ、
「無法者」

更新日:2009-02-26 17:09:11

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