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妹は『アピアー』と言うと体を金の鎧に包まれた。
コスプレ女ことウェンディー・ニコルセンが『金師子皇女』と呼んだ。

「何だ、それ?」
「マコの聖具よ。
絶対に欠けず、圧倒的な暴力を誇示する金獅子の牙、スコヴィヌング。
そして、その金獅子を守る圧倒的な防御力を誇り、魔法や疫病等の邪悪な物を一切通さない伝説の盾、アイジス。
そして、金獅子に降りかかるあらゆる厄災を守り、そして、味方には希望を、敵には絶望与える金色の鎧よ。
『金獅子の戦乙女』とか『金獅子皇女』なんかが彼女の二つ名よ」

何その中二病って言いたいところだけど、目の前でこうも綺麗に変身されちゃ、信じるよりほかない。

「で、アンタは何が出来るの?」

ウェンディーが俺を見る。

「何が出来るって‥‥
何が出来るんだ?」
「私に聞かないでよ。
アンタ、マコの従者でしょ?」
「チゲーよ!!
兄だよ兄貴!!
マコのお兄ちゃんだ!」
「はぁ?
まこに全然似てないわね、アンタ」
「ウルセー
俺は前の御袋似で、マコは今の母親似何だよ」

そう、俺とマコとは血が繋がって居ない。
詳しく言えば、俺の母親はガンで病死し、再婚したのがマコの母親で、今の母親である。

「あ、えっと…
その、ごめんなさい」
「構わねーよ。
人間何時か死ぬんだ。
俺の本当の母さんはそれがちょっと早かっただけだ」
「そう。
それで、アンタは何が出来るのよ?」
「知らねーよ!
何も出来ねーよ!!」

逃げ足は速いです。

「従者は勇者を手助けするんだって」

マコが補足する様に言う。

「う~ん‥‥
俺に出来る事ねぇ‥‥
九九式狙撃銃が有るわいな」
「お兄ちゃん、それ玩具でしょ?」
「おう。
あ、俺にも一つできることがるぜ!」
「何?」
「お前の安全を祈る!」
「話に成んないわ。
取り敢えず、剣でもなんでも良いから何か出来る事さがしなさいよ」

ウェンディーは言うと部屋から出て行ってしまった。
何だアイツ。

「で、お前は何時までその派手な鎧を着ているんだ?」
「あ、うん」

マコは『ヴァニッシュ』と唱えるとパァァっと光消えてしまった。

「俺に出来る事ねぇ‥‥‥
そう言えば、九九式狙撃銃は?」
「あ、うん。
ベッドの横に有るよ」

見ると、ベッドの横に有る小さな机の上に細長い段ボールが置いてある。
間違いない、俺の汗と涙の狙撃銃。

「‥…‥何か可笑しい」

持ってみると、何か違和感が有る。
恐る恐る開けてみると、やっぱり普通の狙撃銃だ。
うぅ~ん?
何だ?
微妙に重い気がする。

「スコープも割れてない」

カシャリとボルト起こすと手前に引く。
そして、また元に戻す。

更新日:2011-10-07 10:26:33

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