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病棟死守

・・・《タエコ》・・・


戦争前には安全と最も安全と言われていたこの病棟。
しかし、そんなアタシたちの見通しがことごとく崩されたのは、開戦まもなくだった。

無線機から慌ただしく伝えられたのは、病棟付近の壁が“死神”の軍勢が突入したとの知らせと、そこの護衛にあたっていた兵たちの全滅。

たしか、護衛にあたっていた部隊は・・・


「ロドリゴさんの・・・」


そうだ。今は亡きロドリゴ隊長の部下たちだ。
彼らはロドリゴさんの能力があってこそ、ダスクなどと対等に渡り合っていたが、その彼が死んだ今、戦力は皆無だった。

しかし、そんな彼らも何かの役に立ちたいと必死に抗議し、長老と副長の許可を得て、安全とされるこの病棟付近の護衛の任に就いたんだ。


「行くわよ、タエちゃん!!」

「もうメイクが崩れるとか言ってらんない!!!」


アタシたちは意を決して、病棟のロビーを飛び出す。
相手は“死神”の能力者。きっとアタシたちよりも格上のはず。

生きて帰ってこれる、そんな保障はどこにもない。

でも・・・今、この病棟を守れるのはアタシたちだけ。
ここの皆を、“忍”の皆を守れるのはアタシたちだけなんだ。

更新日:2011-08-03 12:13:06

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