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警護課第4係
土曜日。
警視庁警備部警護課第4係。
警護任務の予定は入ってないが、今日は交代で4係が課に詰めていた。
オレは朝から昨日の財務大臣の警護報告書を、うるさい課長からもっと分かりやすく書き直せと言われ、パソコンに向かっている。
オレの後ろでは、笹本さんと山本がまた子供みたいなケンカをしている。
石田さんは、農林水産大臣の任務に借り出されて今課にいない。
報告書をプリントし直していると、笹本さんが後ろから声をかけて来た。
「ねぇ、お昼さぁたまには食堂じゃなくて外に食べに行かない?」
「あっ、いいっすねぇ行きましょうよ」
笹本さんの言葉に山本が言う。
「あんたに言ったんじゃないよ、井上に言ったんだよ」
「えっ・・・まさか井上と笹本さんてデキて・・・いたっ・・なんすかもう、暴力反対!・・いてっ・・」
山本が笹本さんに頭をひっぱたかれて叫ぶ。
「うるさいんだよ!!あたしは井上みたいな濃い顔の男はタイプじゃないって知ってんだろ!」
「笹本さん、そんなはっきり言わなくても・・・」
オレは報告書を持って、課長室に行こうとしたところに笹本さんに言われて、少し傷ついて言った。
「あぁ・・・ごめん・・・でもさホントにタイプじゃないから仕方ないじゃん。大丈夫あんたにもいい女がいつかできるよ」
「そんな、とってつけた慰めいりませんよ」
オレはそう言って課長室のドアを、ノックしようと手を上げたときに尾形さんが、ドアから出てきた。
課長室に尾形さんが呼ばれていたことに、今気がついた。
「ん、どうした?」
尾形さんがオレに聞いて。
「報告書を課長に渡しに来ました」
尾形さんは、そう言ったオレの手を引いて引き寄せると、オレの耳元に。
「今からこの間言っていた店に向かうから、お前も用を済ませたらおいで」
優しいオレの恋人の声でそう言われて。
「分かりました。すぐに向かいます」
オレがそう言うと、尾形さんは上司の顔に戻してオレの肩を叩き課を出て行った。
その後姿を見送り、課長室のドアをノックする。
「失礼します。報告書を持ってきました」
「入りなさい」
課長室に入り報告書を手渡した。
難しい顔をして報告書に目を通す。その間ずっと何かまた言われるんじゃないかと俯いていた。
「・・・いいでしょう。このようにいつも細かく報告書に書くこと。いいですね」
「はい」
「行っていいですよ」
オレは頭を下げ課長室を出た。
ちくちく皮肉を言われずに済み、ホッとした。
さあ、尾形さんが先に向かった有楽町の店に行こうとパソコンを閉じ背広を着る。
「井上どこいくの?まだ昼ごはんには早いけど?」
笹本さんに言われてハッとした。お昼食べに行こうと誘われていたことを思い出した。
「あ、あの・・ちょっと今日これから外に出るんで昼飯山本と行ってくれます?」
「何よ、外ってどこに行くのよ」
「そうだよどこに行くんだよ」
「ちょ、ちょっと・・・あの~・・・失礼しま~す」
オレは上手い嘘がつけず、その場を逃げようとした。その時課長がオレを呼び止め。
「井上、この後尾形君と昼食に行くんですよね?」
「あ、はい。・・・え、知ってるんですか?」
「あぁ、さっき尾形君から聞いてね。これを会ったら渡しておいてくれますか?」
課長から書類袋を渡された。
「はい、わかりました」
課長が課を出て行った後、後ろからものすごい視線を感じ振り向くと笹本さんと山本が、オレを睨んでいた。
「な、なんすか・・・?」
「あんた、係長と昼飯行くんだ・・・」
「なんで俺たちを誘わないんだよ。ずるいぞお前だけ奢ってもらうつもりか?」
「い、いや・・・ちょっと相談したいことがあって、じゃあ昼飯食べながらどうだって言われて・・・じゃあ、係長待ってるんで・・失礼しま~す!」
ギャアギャア2人の文句を、背中で浴びながらオレは警護課を出た。
警視庁警備部警護課第4係。
警護任務の予定は入ってないが、今日は交代で4係が課に詰めていた。
オレは朝から昨日の財務大臣の警護報告書を、うるさい課長からもっと分かりやすく書き直せと言われ、パソコンに向かっている。
オレの後ろでは、笹本さんと山本がまた子供みたいなケンカをしている。
石田さんは、農林水産大臣の任務に借り出されて今課にいない。
報告書をプリントし直していると、笹本さんが後ろから声をかけて来た。
「ねぇ、お昼さぁたまには食堂じゃなくて外に食べに行かない?」
「あっ、いいっすねぇ行きましょうよ」
笹本さんの言葉に山本が言う。
「あんたに言ったんじゃないよ、井上に言ったんだよ」
「えっ・・・まさか井上と笹本さんてデキて・・・いたっ・・なんすかもう、暴力反対!・・いてっ・・」
山本が笹本さんに頭をひっぱたかれて叫ぶ。
「うるさいんだよ!!あたしは井上みたいな濃い顔の男はタイプじゃないって知ってんだろ!」
「笹本さん、そんなはっきり言わなくても・・・」
オレは報告書を持って、課長室に行こうとしたところに笹本さんに言われて、少し傷ついて言った。
「あぁ・・・ごめん・・・でもさホントにタイプじゃないから仕方ないじゃん。大丈夫あんたにもいい女がいつかできるよ」
「そんな、とってつけた慰めいりませんよ」
オレはそう言って課長室のドアを、ノックしようと手を上げたときに尾形さんが、ドアから出てきた。
課長室に尾形さんが呼ばれていたことに、今気がついた。
「ん、どうした?」
尾形さんがオレに聞いて。
「報告書を課長に渡しに来ました」
尾形さんは、そう言ったオレの手を引いて引き寄せると、オレの耳元に。
「今からこの間言っていた店に向かうから、お前も用を済ませたらおいで」
優しいオレの恋人の声でそう言われて。
「分かりました。すぐに向かいます」
オレがそう言うと、尾形さんは上司の顔に戻してオレの肩を叩き課を出て行った。
その後姿を見送り、課長室のドアをノックする。
「失礼します。報告書を持ってきました」
「入りなさい」
課長室に入り報告書を手渡した。
難しい顔をして報告書に目を通す。その間ずっと何かまた言われるんじゃないかと俯いていた。
「・・・いいでしょう。このようにいつも細かく報告書に書くこと。いいですね」
「はい」
「行っていいですよ」
オレは頭を下げ課長室を出た。
ちくちく皮肉を言われずに済み、ホッとした。
さあ、尾形さんが先に向かった有楽町の店に行こうとパソコンを閉じ背広を着る。
「井上どこいくの?まだ昼ごはんには早いけど?」
笹本さんに言われてハッとした。お昼食べに行こうと誘われていたことを思い出した。
「あ、あの・・ちょっと今日これから外に出るんで昼飯山本と行ってくれます?」
「何よ、外ってどこに行くのよ」
「そうだよどこに行くんだよ」
「ちょ、ちょっと・・・あの~・・・失礼しま~す」
オレは上手い嘘がつけず、その場を逃げようとした。その時課長がオレを呼び止め。
「井上、この後尾形君と昼食に行くんですよね?」
「あ、はい。・・・え、知ってるんですか?」
「あぁ、さっき尾形君から聞いてね。これを会ったら渡しておいてくれますか?」
課長から書類袋を渡された。
「はい、わかりました」
課長が課を出て行った後、後ろからものすごい視線を感じ振り向くと笹本さんと山本が、オレを睨んでいた。
「な、なんすか・・・?」
「あんた、係長と昼飯行くんだ・・・」
「なんで俺たちを誘わないんだよ。ずるいぞお前だけ奢ってもらうつもりか?」
「い、いや・・・ちょっと相談したいことがあって、じゃあ昼飯食べながらどうだって言われて・・・じゃあ、係長待ってるんで・・失礼しま~す!」
ギャアギャア2人の文句を、背中で浴びながらオレは警護課を出た。
更新日:2011-06-09 20:14:59