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アリシアの舞台

アリシアは、お城で働く12才のかわいい少女でした。
ダンスと歌がとても大好きで、長い絹糸のような金髪をひらめかせて、
いつも踊ったり歌ったりしていました。

でも彼女はお城の外に出ることは許されていませんでした。
少女はここで働くために連れてこられた奴隷の一人だったからです。

粗末な着物を着て、一生懸命に働いて、与えられる食べ物はわずかでした。
少女は他の奴隷と同じように、毎日毎日水汲みをしたり、マキを運んだりと雑用をさせられていました。

そして、へとへとになって小さな寝床で眠る前に、周りを起こさないように、小さな声で毎日神様に祈るのでした。
<いつか、このお城を出て大好きな歌とダンスを目一杯できますように…>


でも、なかなかそうはいきませんでした。
アリシアは仕事中でもよく踊りだしては
「アリシア!忙しいのに何を跳ね回っているんだい!?」
と、よく叱られていました。

外で働かされている奴隷からは、アリシアは羨ましがられていました。
前に同じぐらいの年の奴隷と話したとき、アリシアはこう言われました。

「外でいつも土にまみれているよりも、美しいお城で働いているあなたは幸せよ」

でもアリシアには全くそう感じられませんでした。
<いくらきれいでも、ここは大きな鳥かごにすぎないわ。私は外の方がいい。だって外にはお花もあるし、小鳥や風の歌が聞けるのだもの>

アリシアはいつもそんな風に思っていて、お城の中をつまらなく感じていたのでした。





更新日:2018-02-12 22:38:12

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