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3日目

ぐおう!

ぬらりと輝く凶悪な牙が迫る。

唾液がつぅと口内に糸を張り、生々しい深紅を透かせた粘膜が画面いっぱいに広がった。

すぅと色があせたのは、その口内が閉ざされた証拠であった。光の届かぬ暗闇に視界を奪われることすなわち、ビーの首が丸ごと獣の顎に飲まれたからに他ならない。

ざん!

その暗黒に一筋の光が届く。

赤黒い液体が薄いベール状の滝となって流れる先に、じっとりと湿った石造りの古代遺跡が僅かに見えた。その先で平たい刃を振るう腕。長い毛並みを振り乱して跳躍する獣の姿も。

「ビー!大丈夫か!」

ああ。首はついてる、と答えようとしたものの、切り落としたての生首を被っては、まともに返事もできぬ様子で、生首を剥ぎ取ろうともがきながらひくく呻いた。

口内の唾液と血液をまともに吸った。

この先はぐずぐずと溶け消える獣の頭。溶ける腐液ばかりは飲み込むのはごめんとばかりに、渾身の力を込めて引きちぎる。

鋭い刃が首に当たり、うっすらと皮膚を裂く。それを床に放り出したのと、溶け崩れるのはほぼ同時であった。

水を被った犬のようにぶるると首を振るビーの隣では、イーとディーがそれぞれ最後のモンスターに留めを刺しているところだった。

イーのアックスが獣の頭をかち割り、ディーのアックスはその腹を割き、臓物がどろりと雪崩れ落ちた。

腐臭と蒸気が湧き上がり、獅子に似た凶悪なモンスターは骨も残らず溶け消えた。

更新日:2012-01-29 22:42:56

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