• 6 / 48 ページ

第4話 佐久間翔太郎の生い立ち その2

パパには、いつも僕は会えない。いつも忙しいから、遅くに帰って、僕がたまに見るのは、パパが寝ている姿。そんな時は、少しだけベッドに潜り込んで、パパに抱きしめてもらうのが好きだった。そんなパパが大好きだった。

ママには、あれ以来本心から甘えることが出来なくなった。でも、だんだんお腹が大きくなっていくと、なぜか優しくなって、毎日「翔ちゃんお腹の赤ちゃんにお話してあげて!」と言って、お腹を触ったり、耳を当てて、「赤ちゃんが産まれたら、お兄ちゃんになるのよ!小さくて可愛いのよ!」「翔ちゃんも、とっても可愛かったのよ!」「パパなんて、とっても忙しかったのに、翔ちゃんのお風呂の時間は、パパのお仕事に合わせていつも3時だったけど、必ず一度帰って来て、翔ちゃんを毎日お風呂に入れてくれて居たのよ!」
それも、3ヶ月間だけだったらしいが、僕は愛されていたことがとっても嬉しかった。「僕、パパとお風呂入りたいな!パパお仕事忙しくて可愛そうだね?僕がもっと遅くまで起きて居られたら、お背中洗ってあげたいな!お風呂で遊びたいな!」でも、そんなすれ違いの毎日にも、夜中に必ず僕の部屋に来て、僕が寝相が悪くて、いつも逆さまになっているから、抱えて向きを変えてくれていたんだ。その心地良さがたまらなく好きだった。あの日までは。


2006/10/19 (木)

更新日:2009-01-06 19:11:26

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook