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第10話 成瀬悟志の生い立ち その4

僕が、どんなに泣いても…暴れても…白い遺骨になるまで、僕は最後の最後までパパとママには会わせてもらえなかった。
今思えば当然なんだけど、大好きなおじちゃんもおばちゃんも信じられなくなるくらい、どんなに抱きしめられても、満たされない想いをずっと引きずって歩いていくしかなかった。
おじちゃんもおばちゃんも悪くないのに、悲しみを二人にぶつけてしまっていた。
おじちゃんもおばちゃんもどんなに辛かったか、分かる歳でもなかったし、それまでが幸せ過ぎたのかもしれない。
我が家は、家族のスキンシップがどこの家族よりも多かった。
特に夜寝る時には、パパとママにキス攻めにされるくらい。きっと一生分を凝縮していたのだろう。
パパは大工で、ママは看護士で、たまにどうしても僕一人になる時は、おばちゃんのお家にお泊りしていた。それに、よく高熱を出しても。
どっちが自分の家だか分からない時もあったくらいだから、ある意味おばちゃんもおじちゃんも育ての親みたいなものだった。
それに、パパとママは、僕を預けて、たまに二人だけでデートをしたり、旅行には行けなくても、アツアツ新婚カップルのように僕が元気なのに預けられたり。
そんな日のおじちゃんのハシャギップリといったら、この上なく迷惑な程だった。おじちゃんもしてるのか!?ってくらいに『子宝ダンス』という奇妙なダンスを激しく、あまりに楽しそうだから、僕も一緒にやっていたが、そのダンスの事の真相を知った時には、かなり落ち込んだ思い出がある。おばちゃんも止めてくれれば良かったのに、おばちゃんもやってたから誰が止めるんだ?って話だけど、その後数年やってしまってたんだから、僕の唯一のお笑い芸だったし、今更キャラ変えるのも不自然だから、そのまま大人になったけど、血は繋がっていないが、育つ環境というか、《三つ子の魂百までも》って気がする。
今でも、わが子のように毎日二人は来てくれて、告知も受けてこうして穏やかなのは二人のお陰なんだ。だけど、結局僕は施設を選んだ。おじちゃんもおばちゃんも大好きだけど、パパとママの思い出と悲しみに押し潰されそうだったから、同じような境遇、パパとママの居た施設に暮らすことにした。
お通夜からずっと泣きっぱなしの施設のおっちゃんが、パパとママの昔をたくさん知って居たから、自然と引き込まれてしまったんだ。


2006/10/27 (金)

更新日:2009-01-06 19:22:26

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