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先王が亡くなって、幾日も経たぬ間に、諸侯、そして将達は集まった。
喪に伏しているため、全員、白い装束を身にまとっている。

重要な家臣たちが、このように一同に揃うのは久々だった。事態が事態なだけに、一様に張り詰めた緊張感が伝わってくる。

その様子を、掌那は天井裏から、穴を空けて観察している。物音等は一切立てない。
几帳面で、冷静・・・彼女には忍ぶ才能がある。

これが、商の重臣達か・・・
掌那は心中では憎くて仕方がなかった、彼らが自分の家族を、一族を殺したのだ。

「よく参った」
紂王・帝辛が姿を現した。玉座に座る。
その王の横には、宰相が立っている。

左は宮中の諸事を行う管理職の長である冢宰の雪鳳(せつほう)
彼は背が高く、将の様な逞しい体つきをしていた。
整った容姿をし、暁のような瞳は若々しい印象を与えるが、
今、その眼光はするどく光らせていた。
髪は老人のように真っ白である。

右は三候をまとめる長であり、天子を助けて政治を行う宰輔の帝鴻(ていこう)
煌凛が危険視している男だ。

三候はそれぞれ、紂王に挨拶を述べる。
それぞれに国を持つ王だ。三人とも歳はとっているが、聡明な人物だった。

更新日:2011-05-22 20:44:47

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