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小説

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「金莎」
二人で会うときは、煌凛は九妃を本名で呼ぶようになった。九金莎がそう望むからだ。
九金莎は好んで煌凛の部屋に訪れるようになった。

彼女は生まれながらの高貴なお姫様で、家具や服の趣味がとても良い娘だった。
始めこそ、部屋に無頓着だった煌凛も徐々にそれに刺激され部屋に気を使うようになり、煌凛の部屋も徐々に綺麗にまとまったものになっていった。
九金莎に好感をもち、好かれたいと思っているからだろう。

煌凛は椅子に腰掛けた九金莎の髪を櫛でとかし、高く結い上げた。
生まれつき真っ黒な自分の髪を、煌凛は内心好んでいなかった。
顔の作りもあり、黙って立っていると何処か冷たく、距離を置いて接しられてしまうからだ。

「羽みたいに柔らかな髪ね」
煌凛はそういって微笑んだ。九金莎の髪は窓の光に照らされて亜麻色に輝いていた。
彼女は若葉や浅葱の様な清清しい色の衣がとてもよく似合う。
溢れんばかりの若々しい純朴な雰囲気が、化粧などせずとも、十分に彼女の美しさを引き出していた。

「金や、べっ甲の飾りが映えないの」
九金莎は苦笑した。
「黒い髪に金の飾りはとても綺麗だと思うわ、私の顔は化粧も映えないし」
自分自身の魅力に気づいていないのだ。その様子が初々しく、とても微笑ましかった。

「金莎はまだ若いのだから、宝石よりも花の方がずっと似合うわ」
そう言うと窓辺に飾ってあった花を一本、折り、彼女の髪にさした。

更新日:2011-05-14 18:36:46