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 彼は家と同じオレンジ色の服を着ていた。
「こんにちは。私はこういう者です。ぶしつけで申しわけありませんが、このお手紙を下さったデデさんに間違いはありませんか?」

 彼は、細くつぶれた目をうっすら開いた。
「嫌ですなぁ。あんな悪趣味な家と間違えんといてくださいよ」

「ああ、それは申しわけありませんでした。失礼ですが、デデさんのお宅を伺ってもよろしいでしょうか?」
「あれですわぁ。あのケッタイなオレンジ色。うちとはテンで違いますやろ?」

 彼の指差した家は、この家とさほど変わりのないオレンジ色の屋根があった。違うとすれば、この家は蛍光色で、あの家は落ち着いた普通色という程度である。

 着いて早々失敗した。この村には、それぞれ固有の色があり、それぞれが家色に高い誇りを持っているのだ。服までその色に染め上げているところから、彼らの色に対するプライドの高さはうかがい知れた。

「教えていただき、ありがとうございます。それでは、私はこれにて失礼いたします」
 私は深々とおじぎをした。

更新日:2011-05-01 13:33:59

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