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1章

 飛行機を乗り継いで2日。バスに揺られて10時間。さらに急勾配の高台を3時間昇りつめたところに、ようやくその村は姿を現した。

 こじんまりとした家々が並ぶ。いや、家自体の大きさはそこそこながら、その出入り口が明らかに低すぎるのだ。その半面、横幅は同じくらいとってある。真四角な扉。丸人族の生活に合わせたものだ。

 加えて屋根の、奇抜な色合いには度肝を抜かれた。ピンクや紫、蛍光オレンジなど、ここはどこかのテーマパークかとも見まがう装いである。

 子供のおもちゃハウスの展示会。最初の印象はそれである。
 まずは、手紙の送り主の家を訪ねることにした。オレンジの屋根。それが目印であるらしい。すぐに見つけた。

 ノックをする。人が出てきた。
 人、と呼んでいいのかどうかすら一瞬戸惑う。彼(彼女?)は岩か団子のように丸かった。

 私の腰位の身長。そして、同じだけの横幅を持つ。上から見下ろした状態ですら、どこも均等に丸いのだ。

 直径100cmの球状体型。そこからいぼのように浮き出る頭と、紐のようにぶらさがる異常になまでに細い腕。丸い体を転がさない為に備え付けられたストッパーに似た足が覗く。それが彼らの特徴である。

更新日:2011-05-01 13:33:10

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