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3章

 私はデデ家へ戻り、調査結果をまとめていた。
 家族構成は重要な情報だ。実りある調査結果とは言い難いが、これが知れただけでもかなりの進展である。もう少し、確認しなければならないこともあった。

 デデ氏が客室をノックした。後ろには双子のような奥様だ。盆には、やはりスープボールのような容器が乗せられていた。また私に激甘ミルクティーを御馳走してくれるらしい。

「探偵さん。首尾はいかがでしたかな」
「正直、あまり良くはありません。今日のところは様子見です。みなさん、揃って口の堅そうな方たちだ」

「それはそうでしょう」
 ミルクティーをいただいた。疲れた体には、心地よく染みわたる。
 奥さんが部屋を下がると、デデは声を潜めて詰めよった。

「で?結局のところ、犯人はわかったのですか?」
 私はまだ事故説も残している。仮に被害者が、青服を盗んだ泥棒だったにしても、彼はただ足を滑らせ、転落しただけという結末も十分にあり得るのだ。

更新日:2011-05-01 13:54:21

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