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 青の家族の誰かが有権者一族の在り方に異を唱えた。そこで、邪魔なその者を殺害しようと有権者一同が賛同した。しかし、有権者一族が殺人事件などあってはならない。そこで、邪魔ものは消すが、有権者一族には誰1人欠損などないように振舞っていると言うのである。

 つまり、有権者同士が家族をシャッフルしており、さらに部外から1名を招き入れてどこかに匿っていると言うのだ。
「それは、困りましたなぁ」
 私は顎を撫でて思案した。

「では、有権者家その全てに容疑者が隠れている可能性があると」
「はい。ですから探偵さんには、有権者達ひとりひとりに会って、話をしてもらいたいのです。私ども素人相手には出さないボロも、探偵さんの前なら出すかもしれない。探偵さんならそのボロに気付くかもしれません」

「しかし、デデさん。仮にそうだとしても、なぜあなたがそんなに熱心に調査しようと思い立ったのですか?失礼ですが、あなたは完全に部外者であるように思えるのですが」

 デデは軽く照れ笑いをした。目じりがやさしげにとろんと落ちる。
「実は、私の娘が青家の息子に惚れていまして。二人ともそれは真剣なものですから、娘の為にもなんとかしてやりたいと思いまして」

「ははぁ。わかりました。娘さんの嫁ぎ先にそんな不穏が渦巻いたままではいかんとお考えになりましたか」
「そうなのです。ですから、どうかお願いします。この謎を解明してください」

更新日:2011-05-01 13:41:51

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