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漱石の『落語より面白い俳句』:1306句の解釈例とその面白味

 作家・夏目漱石の初期の小説は面白く、ユーモアに満ちていることで、現代でも多くの人に愛読されています。しかし、これら小説の執筆前に作っていた多数の俳句と執筆の合間に作っていた少数の俳句はそれほど高くは評価されていません。俳句の師匠であった正岡子規は、漱石先生の俳句を面白いと評価し、独自の俳句世界を創造しているとして創作を鼓舞していました。その子規が没した後、漱石先生は意気消沈しながらも独自の俳句世界をさらに切りひらきました。

 写実主義に囚われずに、漱石の俳句を「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」と同じように読めば良いし、そうする事で漱石の俳句文学が楽しめます。

 漱石の俳句観と人生観、および漱石の俳句作りの面白さを、絵画において漱石と同じく面白さ、ユーモアを追求する画家のホクサイマチスと漱石の俳句弟子を自認する砂崎枕流(二人は同一)が漱石の『全俳句』を順次、独自に解釈して行きます。当時の漱石に成り切って解釈します。

 漱石は自分の俳句は小説と同様に百年後、二百年後に残る俳句であると思って作っていたはずです。超A I 時代に向かっている今こそ、これらの俳句は光り輝くものであると弟子の枕流は確信しています。
 小説「草枕」は俳句小説と言われていますが、漱石自身の人生を正直にかつ面白く語っている2500句を超える俳句群も一つの小説を構成するものだと思います。

 漱石は自分の行動と考えを暗号のようにして俳句に記録していますところがあります。しかし、子規には通じていました。この謎を解くことも漱石俳句の解釈の醍醐味の一つになっています。
 
 漱石俳句の大部分は、親友の正岡子規に宛てて送られた句稿に書かれていたものです。漱石の心情や悩みを率直に、かつ面白くまとめたものが多く含まれています。特に独身最後の松山時代の俳句は、自らの体験を赤裸々に、かつアート的にまとめて述べています。世の評論家、編集者はこれら俳句の適切な解釈を避けていますが、下記にその一部の俳句を紹介します。ここには人間漱石の面白み、醍醐味が詰まっています。           
 

・恋猫や主人は心地例ならず
・ちとやすめ張子の虎も春の雨
・春の雨鶯も来よ夜着の中
  
・黙然と火鉢の灰をならしけり
・吾老いぬとは申すまじ更衣