★【86】それでも、あなたにラヴソングを(原稿用紙100枚)

 物語は主人公の直樹と美咲が中学3年生の時から始まって行く。直樹は幼い頃からJリーグサッカーチームの下部組織でサッカーを続けていて、美咲も幼い頃からピアノの個人レッスンに通っていた。

同じクラスの2人は授業が終わるとすぐに下校してそれぞれの練習の場に移動していた。ある日いじめを受けていた美咲を直樹が助けて、それから一緒に駅まで帰るようになった。

乗車までに時間が空いたときは2人は箱ブランコを漕いで時間を潰した。そんな2人は中学卒業後、直樹はドイツにサッカー留学を、美咲はオーストリアにピアノ留学をすることになった。

卒業式の日に20歳になったら、直樹はブンデスリーガのピッチ場で両手でハートマークをしている写真を、美咲は自作のラヴソングを録音したCDをお互いにプレゼントし合う約束をした。

オーストリアに渡った美咲だったがピアニストへの限界を感じていた。そんな美咲は、オーストリアで日常生活の中に音楽が溶け込んでいることに感動する。

更に18歳になっていた美咲は、先輩の音楽セラピストに刺激を受けピアニストとしては挫折したが音楽療法を日本に帰って学ぶことを決意する。

ドイツに渡っていた直樹は18歳になってクラブユースへ昇格することができたが、メディカルチェックで拡張型心筋症の疑いが見つかる。直樹は日本へ帰って精密検査を受けることとなった。

18歳になり偶然にも日本に帰ってきた2人がブランコのある公園で再会する。2人はそれまで話していなかった其々の事情を話す。

もう夢を叶えることができないと直樹は美咲に伝えたが、美咲は新しい夢に向かって歩み始めようと直樹を説得する。

ある日いつものように公園で話した後、公園を出たところで美咲が直樹への想いを込めて作曲したラヴソングを録音したCDが入ったカバンをひったくられる。

激しい運動を禁止されていた直樹だったが、必死にが美咲のカバンをひったくった犯人を追いかけてその場に倒れる。

果たして、救急車の中で直樹の耳元でラヴソングを歌いかける美咲の歌声は直樹に届くのだろうか・・・?