• 5 / 10 ページ

序章

───人間は弱くて強い。


俺はそんな言葉を親父からずっと聞いてきた。俺にはその言葉の真意なんてわからない。
この世界は人を信じ、人を愛し、通じ合う。
確かに人を頼らないと弱いところもあるだろう。しかし決してそれが弱いとは思わない。
そうなれば、この言葉の真意とはなにか・・・?
そんなのわかるわけがなかった。

俺の名前は増渕透、ごく普通の大学生。友人も少なくないし恋人もいる。こんな俺がこんなことを考えているのは俺が心理学サークルに所属しているからだ。
・・・とは言っても幽霊部員なのだが。
今、俺は講習をうけている。隣では友人がおしゃべりしている。

「それでさー。そのゲームめっちゃ面白いんだよ」
「でもさ。リアルにあったらすごくこわくない?わおーんなんてさー。」
二人はなにかゲームについて語り合っているようだ。俺はそんなのには興味がないのでスルーしているが。
「なぁ透。お前にも面白いゲーム教えてやるよ。な?お前もやってみようぜ」
友人の一人・・・音哉がそう呼びかけてきた。俺は首を振る。

「本当に面白いんだって!騙されたと思ってやってみなよ。ほら透の心理学なんとかも役に立つかもしれないの!」
もう一人の友人・・・千尋が言った。
まぁ、心理学サークルは幽霊部員だからそこまで分からないんだけどな。というつっこみはいれないでおいた。

「・・・・んで、なんていうゲームなんだ?」
俺が聞くと二人は顔を見合わせ、声を合わせてこういった



「汝は人狼なりや!」

更新日:2011-03-02 22:27:11

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook