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4本目:札神様 ー初ノ憚ー
昔々、女が辺境の村へとやってきた。
水瓶いっぱいの大判小判を抱えて、女は言った。
「ワタシは夫を殺して逃げてきた。金はやるから、かくまってくれやしないか」
村人たちはその金に目がくらんで、女を村長の倉にかくまった。
次の日、町から役人がやってきた。
「この村に女は来なかったか、もしもかくまっているのならばお前も含め、村人全てを殺す」
村長は、恐ろしくなって女を引き渡した。
抵抗した女は、その場で処刑されることになった。
「この裏切り者の村人どもが!お前らがワタシを怒らせた!」
女は涙と笑みと、狂いが入り混じった顔で吼えた。
「いいか、この罪は伝染する…お前らみんな罪人だ!」
女は首を斬られて死んだ。
役人が去った後。村長は倉に戻ると女の水瓶を探した。そしていくら探しても出てこない。
村長は使用人の男を疑った。金に困っている小賢しい少年だった。
少年は「ちがう、ちがう」と否定と懇願を繰り返したが、怒り狂った村長に手斧で頭をかち割られて殺されてしまった。
次の日、村長は毒を盛られて殺された。
殺したのは村長が殺した少年の恋人の女中だった。
次の日、女中は首を絞められて殺された。
殺したのは村長の一人息子だった。
次の日、息子は崖から突き落とされて死んだ。
殺したのは女中の母親だった。
次の日、女中の母親は猟銃で撃たれて殺された。
殺したのは息子の母親だった。
・
・
・
こうして村人はいなくなった。
最後の一人の村人も、どこかで罪を犯して、殺されているのでしょう。
そして今も連鎖は続いている…。
(興ノ憚へ続く)
ろうそく4ほんきーえた。
ふっ。
水瓶いっぱいの大判小判を抱えて、女は言った。
「ワタシは夫を殺して逃げてきた。金はやるから、かくまってくれやしないか」
村人たちはその金に目がくらんで、女を村長の倉にかくまった。
次の日、町から役人がやってきた。
「この村に女は来なかったか、もしもかくまっているのならばお前も含め、村人全てを殺す」
村長は、恐ろしくなって女を引き渡した。
抵抗した女は、その場で処刑されることになった。
「この裏切り者の村人どもが!お前らがワタシを怒らせた!」
女は涙と笑みと、狂いが入り混じった顔で吼えた。
「いいか、この罪は伝染する…お前らみんな罪人だ!」
女は首を斬られて死んだ。
役人が去った後。村長は倉に戻ると女の水瓶を探した。そしていくら探しても出てこない。
村長は使用人の男を疑った。金に困っている小賢しい少年だった。
少年は「ちがう、ちがう」と否定と懇願を繰り返したが、怒り狂った村長に手斧で頭をかち割られて殺されてしまった。
次の日、村長は毒を盛られて殺された。
殺したのは村長が殺した少年の恋人の女中だった。
次の日、女中は首を絞められて殺された。
殺したのは村長の一人息子だった。
次の日、息子は崖から突き落とされて死んだ。
殺したのは女中の母親だった。
次の日、女中の母親は猟銃で撃たれて殺された。
殺したのは息子の母親だった。
・
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・
こうして村人はいなくなった。
最後の一人の村人も、どこかで罪を犯して、殺されているのでしょう。
そして今も連鎖は続いている…。
(興ノ憚へ続く)
ろうそく4ほんきーえた。
ふっ。
更新日:2011-02-09 22:51:13