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小説

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1本目:トラック05

「エリートなんて死ねばいい」
 ある男が言いました。
 無職の男で、世間のすべて、エリート人間を憎んでいる男。
 本当は男だってエリートコースを歩むはずだったんです。だけど、男は一つ間違いを起こしました。仕事で発注ミスをして、大企業をクビになったのです。
 だから、男はエリートコースを外れてしまいました。
 ある日。男は漆黒の服の紳士に、あるCDを手渡されました。
「これは、あなたの運命を変えるためのCDです、五番目の内容は絶対に聞いてはいけませんよ、一から四までを上手に聞けば、あなたの人生は薔薇色になるでしょう」
「五番目には何が入っているのですか?」
「それは言えませんよ。でも、聞いてしまえば貴方の人生はそこで終わるでしょう」
 漆黒の紳士は去って行きました。
 男は家に帰ると、早速のそのCDを聴いてみました。
 
 トラック01にはある実業家の男の秘密が入っていました。
 
 男はその秘密を実業家につきつけ、脅し、多額の金を巻き上げました。

 トラック02にはある企業の株価に対する情報が入っていました。

 男は実業家からもらった金の半分でその会社の株を買いました。株は大儲け、男は会社を立ち上げることができたのです。

 トラック03には部下に最適とされるある男の情報が入っていました。
 
 男はそのCDに言われた通りにその男を部下にしました。優秀な部下の働きにより、たちまちに男の会社は大きく、強大になっていきました。

 トラック04にはある女性の情報が入っていました。
 男はその女性と恋に落ち、結婚をしました。


 男は幸せになりました。大企業の社長にして、頼もしい部下、美しい妻に、巨額の財産。それでも男は物足りなかったのです。
 
 男はトラック05の情報が聴きたくて聴きたくてたくてたまりませんでした。

 きっと05には今までよりもすばらしい情報が入っているに違いない。
 この人生が終末を迎えるわけはないのだ、と。
 
 男はトッラク05を聴いてしまいました。

 トラック05には、男の妻と、男の部下が浮気しているという情報が入っていました。

 男は怒りに狂って妻と部下を殺してしまいました。

 男は裁判所で極刑を言い渡されました。

 絞首刑の台の上。男の首に縄を掛けたのは。

 
 あの漆黒の紳士でした。

 
 
「エリートなんて死ねばいい、あなたが言ったことですよね」
 漆黒の紳士。否、刑務官のほくそ笑みを男は見ることができませんでした。
 ただ、黒い黒い穴に宙ぶらりんで落ちて行きました。




 ろうそく1ぽんきーえた。
 ふっ。

更新日:2012-08-11 14:15:58

百物語だぉん(´;ω;`)ガクブル!短編集MAX