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序幕:ダレカハシラナイ

 北関東にある町があるの。名物もなにもない。普通の町ね。

 でもね、たくさんの都市伝説や怪談話がある町で、ネット上では一時期だけ話題になったことがある町なのよ。

 でも、【その手】の話って、どこの町にだってあるわよね、伝承とか、昔話とか…。でも【それ】があることを知っているだけで、それがどんな内容かなんて、知らない人のほうが多いんじゃないの?

 怖い話なんて、全部嘘だ。なんていう人もいる。でもね。

 火のないところに煙は立たないのよ。

 まったくオリジナルの話なんて、この世に存在するのかしら。

 たとえば、まったく【嘘】の話を考えた人がいるとしましょう。でも、これは完全にオリジナルなのかしら?なんの話も参考にしてないの?
 プロの小説家だって、まったくオリジナルのストーリーなんて考えられないの。何かの資料を参考にして、80%のオリジナル作品を作ったとする。でも、20%はなにかを参考にしているのではないの?

 そうよ、なにものにも 基盤 というものがあるの。
 ワタシたちが今から話そうとする物語も、元をたどれば、もしかしたら全て。

 一つの話かもね。

 誰かは知らないけど、本当に、完全に、まったくもって100% オリジナルの話を作った人はいるかもしれないわね。

 そう考えると、なんだかおもしろいわよね。


 さぁ、目の前に並んだ100本のろうそく。これをひとつひとつ、物語が終わるたびに消していきましょう。それが百物語の醍醐味。

 百本ろうそくが消えたとき。いったい何が起こるのかしらね。

 ワタシ?

 ワタシのことはどうでもいいじゃない。

 さぁ、はじめましょうよ。札神町の百物語を…ねっ。

更新日:2011-02-06 18:47:03

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百物語だぉん(´;ω;`)ガクブル!短編集MAX