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不安と前触れ

その事件があった以降。
つまり、詩音が転校してからでも夢は何事もなく、
いつも通りの日々を過ごしていた。
詩音と一緒に学校に行ったり、希と話したり、
海斗にからかわれたりなど・・・それらは全て些細な事で、
本当に何事もなく、夢は過ごしていた。

-が、しかし・・・それはいつまでも続く訳ではなかった。

それは、詩音が転校してきて一週間が経つ頃。一つだけ・・・気になる事が出てきた。
ある日の事。夢と詩音がいつも通りに授業が終わった後、
一緒に帰ろうとしていた時だった。
夢がローファーを履いていた時、ふと後ろから誰かに見られている気配を感じた。
そこから感じる気配はまるで・・・胸を突き刺すように痛くて、
そして・・・冷たい目線だった。
夢はそれを感じると、ゾクッと一気に寒気がしてすぐにサッと、
後ろを向いたが・・・そこには誰もいなかった。
それすら、周りを見渡しても誰一人。人がいなかった。
夢はそれを見ると、怖くなって体を少し震わせた、その時だった。

「どうしたの?夢ちゃん」

ふと詩音が夢の行動に疑問を感じるとそう声をかけ、問いかけた。
詩音の顔からは心配そうな表情がうかがえる。
夢はそれ気づくと、首を横に振り、心配させないように笑顔を作ると詩音に言った。

更新日:2011-09-23 20:24:17

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光の姫と魔法の一カ月Ⅱ-再開ノ日-