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◆殺生丸◆

 私は文章を短くまとめる事が不得手で、『夢のあとさき』『ゑのころの記』『想月ノ歌』そして『夜光の盃』、サイトに掲載している『鏡』も『夜光の盃』の前章となった『遠雷』と言い、どんどん文章が長くなっています。
 ただし、長い文章にはそれなりの設定も必要なので、自分の作品上の時間軸は結構明確です。
 原作最終回後設定の作品のうち時間軸は、
『夢のあとさき』収載「それぞれの月」→「野を分く風」→「花のなまえ」→小説サイト掲載「鏡」→「櫛」→『想月ノ歌』収載「紅の雪」→小説サイト掲載「遠雷」→『夜光の盃』収載「夜光の盃」
と、ほぼ発表順になります。

 私の描く殺生丸は、原作期、最終回後と通して、どちらも青い春の真っ只中状態です(笑)。
 奈落との戦いで心身ともに急成長を遂げても、精神的な面においては、拙作『想月ノ歌』にて母上に言わせたように“仔犬”のような、未知なものに興味を覚え、それに怯えたり振り回されたりしている悩み多き青年的な感じですね。
 実は、『夜光の盃』のプロット的なものを作成した段階では、殺生丸は完璧に長尾景虎に言い負かされてしました(笑)。
 景虎主従の前から去る時に、『夜光の盃』ではちゃんと前向きな言葉を言いますが、プロット段階では景虎に自分の意思を何も言えず、ある意味においては逃げるように黙って立ち去るだけでした。
 書き進めるに当たり、前半はりんの健気な言動に心を配り、中盤は景虎主従のヴィジュアルに凝りすぎたので、このままでは殺生丸が余りにもヘタレになり影が薄くなってしまう、と、なんとか多少なりとも前向きな言葉を捜して、何も言わずに立ち去るシーンの前に挿入することで、殺生丸を少しは成長したようにできたかな、とか勝手に思っています。 

 今後も書くとすれば、やはり殺生丸は悩みつづけるだろうし、答を必死に探しつづけるだろうな、と思います。
 今回は、もうちょっと青い春を強調するために、悋気=やきもち、嫉妬をプラスしてみました。
これじゃ、ただの恋する青年ですね(笑)。

更新日:2010-05-17 21:53:12

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『夜光の盃』ライナーノーツ・・・のようなもの