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チェンジ‐07



う…眩しい…。
身体が…揺れてる。


ゆっくり目を開けた。

うすらぼんやりと、視界が開かれていった。

『KYO』が俺の身体を揺さ振っていた。


「起きたか?終わったで…」
「えっ…?」


そうか…そうだった。
点滴の時に、変なクスリを飲まされて…。


「どうだ?調子は?」
「変わんないっス…」
「いや…兄ちゃんは今日からミックや…」
「バカな…なんか変な事したんだろ?」
「アホか!?ワシにそんな趣味はないで…」


人を小馬鹿にしたような目をしやがって…。


「もし、俺の身体に何かあったら訴えてやるからなっ!」
「おうっ!訴えるヒマなんかないでぇ…むしろ感謝されるわ」
「言ってろっ!」
「それに…またワシに会いとうなる…(断言)」
「ごめんだねっ!このヤブ医者め!」


俺は散々文句を言って、『KYO』のクリニックを出た。




そして俺は、自分の部屋に帰って来た。


「いったいなんだ…あの男は…」


ものすごい威圧感があったと思えば、子供から女にまでなってしまうような…。




不思議な人間もいたもんだ…。


そんな事を考えているうちに、また睡魔に襲われた…。

吸い寄せられるように、眠りに陥って行った。










夢を見ていた…。


俺は『マジソン・スクエア・ガーデン』のステージに立っていた。


ファンの連中が俺の歌に拳を振り上げてる。
バラードでは涙する女供がいた…。


そして、最高のエンディングを向かえる。

鳴り止まない歓声に俺は酔っていた。


そんな夢だった。










「あ…」


なんだか…すごく気持ちいい…。
ものすごい高揚感だ…。


「夢…」


身体が震えていた。
腕が疼く…。


身体中の体液が沸騰するくらい全身が熱かった!。


身体がいても立ってもいられない!。


俺は飛び付くようにギターを掴んだ!。


えっ?。
あれっ?。




頭から泉のように『音譜』が湧いてきた!。
イメージが固まっていく。


すごい!。
すごいすごい!。


止まらない!。
後からどんどん湧いてくるよ!。


気持ちいい!。
楽しい!。


アンプのボリュームを上げ、一心不乱にギターを鳴らしていた。
アパートの住人が文句を言いに来てもお構いなしだった!。


こんな生活と早くおさらばしてやるからよ!。
あんたらにも自慢になるぜ!。
ビッグアーティストがこのアパートに住んでたんだってよ!。


「イケる!イケルぞ!アハハ!アハハハハハ!」


そして俺は、一晩かけて曲を完成させた!。

更新日:2010-01-20 00:48:36

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