- 10 / 62 ページ
チェンジ‐10
タクシーを飛ばして、約30分ほど…。
あの時の場所に着いた。
薄暗い路地も変わってないし…。
もう少し歩いたら…。
「あ…あった…」
不気味にぼんやりと明かりがついていた。
変わってなかった。
相変わらず…?。
んっ?。
中に客がいた!。
まさか!?。
あの時と同じ、上下の黒いスーツ…。
『KYO』がいた。
マスターとなにやら語り合っているようだった。
ガチャ…。
カランコロン…。
やっぱり!!。
俺を見るなり、二人の顔は驚きの表情になった!。
「おぉ…これはこれは…大有名人ではありませんか…」
「おおっ!マスター!ここも捨てたもんやないでぇ~『ミックの再来』の人がお見えになる店やもんなぁ~」
「そんな…茶化さないで下さいよ!」
「おっ!?聞いたか?さすが大物!あん時と違って人間も出来てきたっちゅうわけや!うれしいで!」
そして三人での思い出話に華が咲いた。
「マジソン決まったらしいのぉ~おめっとさん!」
「私もびっくりしてます…コウキさん…おめでとうございます…」
「いや…ありがとうございます…」
何故か二人の前では、あの時の自分だった。
その時…急に『KYO』の顔が曇った。
「だがな…あんた…まだまだやで…」
「え…?」
「KYOさん!」
マスターの話しを遮るように、言葉を続けた。
「あんた…完全にミックになってへん…」
「KYOさん!」
「だあっとれ!酒!作らんかい!」
「はいはい…わかりました…」
マスターは、苦笑いをして、カウンターの奥に引っ込んでしまった。
「マジソン…すごいやろなぁ~」
「はあ…」
「あんた…まだ足りないんや…」
そう言いながら、また『あの眼』になっていた。
「いつ行くんや?」
「来月には…リハとかがあるんで…」
『KYO』は何かを計算するように、ブツブツと言い始めた。
「よっしゃ!来週ウチに来いっ!命令や…」
あの冷たい『眼』に何も言えなかった!。
「わかりました…」
「よっしゃ!よっしゃ!決まりや!マスター!はよう酒持ってこんかい!ワシも自慢できるのぉ~」
その時の『KYO』の顔は、何故か不気味に見えた。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
そして一週間後…。
『KYO』の待つ、趣味が悪くてカビ臭い『クリニック』へと行った。
「おお!待ってたで!」
「あれ?」
「なんや?」
不思議だ…あの時と全然違うぞ…?。
すっかり綺麗になってた。
あの悪趣味なホルマリン漬けの標本も無くなっていた。
「あれ?標本とか…壁に書いてあった…」
「はあ?何を言うとんのや?この前と同じやん!」
「だって…」
「夢でも見てたんやろ?そんなもんあったら患者は来いひんやろが!」
いや…絶対に違う…気がする…。
俺は部屋の中を見渡した…。
だけど…雰囲気は変わっていなかった。
「あん時はかなりイッてたからなぁ~…」
「そ…そうっスね…」
「準備しとけや…」
俺は『あの時』と同じ位置のベッドに横たわった。
「自分の夢にぃ~♪すぐムキになるぅ~♪そんなとこ♪好きだから♪とてもぉ~♪」
また歌ってる。
「よっしゃ!ほな…イクで…」
「お願いします…」
「最終段階や…コウキ…お前は今日から…完全な『ミック・リチャード』や…」
「覚えていてくれたんですね…」
「当たり前や…今日でその名前は…終いやからな…」
チクッ…。
そうだ…。
俺はミックになれるんだ…。
待ってろ…。
最高のステージをやってやるからな…。
『KYO』の瞳が…碧く見えた…。
小さく手を振ってる。
ありがとう…。
俺…頑張りますから…。
タクシーを飛ばして、約30分ほど…。
あの時の場所に着いた。
薄暗い路地も変わってないし…。
もう少し歩いたら…。
「あ…あった…」
不気味にぼんやりと明かりがついていた。
変わってなかった。
相変わらず…?。
んっ?。
中に客がいた!。
まさか!?。
あの時と同じ、上下の黒いスーツ…。
『KYO』がいた。
マスターとなにやら語り合っているようだった。
ガチャ…。
カランコロン…。
やっぱり!!。
俺を見るなり、二人の顔は驚きの表情になった!。
「おぉ…これはこれは…大有名人ではありませんか…」
「おおっ!マスター!ここも捨てたもんやないでぇ~『ミックの再来』の人がお見えになる店やもんなぁ~」
「そんな…茶化さないで下さいよ!」
「おっ!?聞いたか?さすが大物!あん時と違って人間も出来てきたっちゅうわけや!うれしいで!」
そして三人での思い出話に華が咲いた。
「マジソン決まったらしいのぉ~おめっとさん!」
「私もびっくりしてます…コウキさん…おめでとうございます…」
「いや…ありがとうございます…」
何故か二人の前では、あの時の自分だった。
その時…急に『KYO』の顔が曇った。
「だがな…あんた…まだまだやで…」
「え…?」
「KYOさん!」
マスターの話しを遮るように、言葉を続けた。
「あんた…完全にミックになってへん…」
「KYOさん!」
「だあっとれ!酒!作らんかい!」
「はいはい…わかりました…」
マスターは、苦笑いをして、カウンターの奥に引っ込んでしまった。
「マジソン…すごいやろなぁ~」
「はあ…」
「あんた…まだ足りないんや…」
そう言いながら、また『あの眼』になっていた。
「いつ行くんや?」
「来月には…リハとかがあるんで…」
『KYO』は何かを計算するように、ブツブツと言い始めた。
「よっしゃ!来週ウチに来いっ!命令や…」
あの冷たい『眼』に何も言えなかった!。
「わかりました…」
「よっしゃ!よっしゃ!決まりや!マスター!はよう酒持ってこんかい!ワシも自慢できるのぉ~」
その時の『KYO』の顔は、何故か不気味に見えた。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
そして一週間後…。
『KYO』の待つ、趣味が悪くてカビ臭い『クリニック』へと行った。
「おお!待ってたで!」
「あれ?」
「なんや?」
不思議だ…あの時と全然違うぞ…?。
すっかり綺麗になってた。
あの悪趣味なホルマリン漬けの標本も無くなっていた。
「あれ?標本とか…壁に書いてあった…」
「はあ?何を言うとんのや?この前と同じやん!」
「だって…」
「夢でも見てたんやろ?そんなもんあったら患者は来いひんやろが!」
いや…絶対に違う…気がする…。
俺は部屋の中を見渡した…。
だけど…雰囲気は変わっていなかった。
「あん時はかなりイッてたからなぁ~…」
「そ…そうっスね…」
「準備しとけや…」
俺は『あの時』と同じ位置のベッドに横たわった。
「自分の夢にぃ~♪すぐムキになるぅ~♪そんなとこ♪好きだから♪とてもぉ~♪」
また歌ってる。
「よっしゃ!ほな…イクで…」
「お願いします…」
「最終段階や…コウキ…お前は今日から…完全な『ミック・リチャード』や…」
「覚えていてくれたんですね…」
「当たり前や…今日でその名前は…終いやからな…」
チクッ…。
そうだ…。
俺はミックになれるんだ…。
待ってろ…。
最高のステージをやってやるからな…。
『KYO』の瞳が…碧く見えた…。
小さく手を振ってる。
ありがとう…。
俺…頑張りますから…。
更新日:2010-01-20 00:59:20